特定小電力トランシーバーの通信距離はどれくらい?
目次
特定小電力トランシーバーとは?
特定小電力トランシーバーとは、無線機の規格の1つで、近距離通信用のコミュニケーションツールとして、特定小電力無線局を利用したトランシーバーのことを言います。
特定小電力トランシーバーのメリット
特定小電力トランシーバーは送信出力が0.01ワット以下の電波を使用するトランシーバーです。
出力が小さい電波を利用することで、さまざまなメリットがあります。
免許や登録が不要
本来、日本国内で無線電波を使用する場合は、通信の混雑を防止するために免許の申請や登録の届け出が必要になります。
一方で、電波の出力が小さく、他の通信の妨げにならないものに限っては、免許や登録が必要ないとされています。(特定小電力無線局)
特定小電力トランシーバーは、法令で定められた特定小電力局の電波を利用するため、免許や登録が必要ありません。
手続きが必要ないため、購入してすぐに利用できるのが、特定小電力トランシーバーの大きなメリットの一つです。
コンパクトで持ち運びしやすい
特定小電力トランシーバーは、出力が小さい電波を利用するため、本体がコンパクトで持ち運びがしやすいことも、メリットの一つです。
無線機の中でもトランシーバーは、受信機と発信機が一体型の構造になっています。
出力が大きくなると、それだけ送信機を大型で強力なものにしたり、バッテリーの容量を大きくするなどの対応が必要になるため、トランシーバー本体の大きさや重量に影響します。
特定小電力トランシーバーは、出力が小さい分、本体がコンパクトになっているのです。
長時間運用できる
電波の強さは、トランシーバーの運用時間にも影響します。
特定小電力トランシーバーは、出力が小さい電波を利用するため消費電力も少なくて済みます。
消費電力が少ないとバッテリーの消費も少なくなるので、結果として長時間の運用が可能になっています。
特定小電力トランシーバーの運用時間は機種により異なりますが、最大で85時間程度、乾電池1本で30時間以上使用できる機種もあります。
特定小電力トランシーバーのデメリット
特定小電力トランシーバーはいろいろメリットがある一方で、デメリットもあります。
通信距離が短い
出力の小さい電波を利用するため、他の無線機の規格と比較して、通信距離が短いことがデメリットの一つです。
特定小電力トランシーバーの通信距離は、使用環境にもよりますが、おおよそ500mから1Km程度です。
ビルが多い市街地などでは、100m程度で通信できなくなることもあります。
遮蔽物の影響が大きい
特定小電力トランシーバーのもうひとつのデメリットは、遮蔽物の影響を受けやすいことです。
微弱の電波を利用するため、コンクリートの壁などがあると電波が届きにくくなることから屋外と屋内の間の通信といった、障害物がある場所での使用にはあまり向いていません。
また、地下やフロアをまたいだ通信も得意ではありません。フロアが離れすぎると、短い距離でも電波がつながりにくくなることがあります。
トランシーバー・無線機の種類と通信距離
特定小電力トランシーバーと、他の無線機との通信距離やそのほかの比較を表でまとめてみました。
特定小電力トランシーバー | 簡易無線 | IP無線機 | MCA無線機 | |
---|---|---|---|---|
通信距離 | 100~1km | 2~10Km | 全国 | 全国 |
免許・登録 | 不要 | 必要 | 不要 | 必要 |
遮蔽物の影響 | 受ける | 受ける | 受けない | 受けない |
特定小電力トランシーバーの通信距離は近距離
特定小電力トランシーバーは送信出力が0.01ワット以下の出力が小さい電波を使用する無線機です。
登録や免許申請が不要で購入してからすぐに使うことができます。
通信距離は、100mから1kmと他の無線機と比較して短く、小規模通信専用となっています。
中距離で使えるトランシーバー・無線機
通信距離が2㎞から10㎞の中距離で使用できるトランシーバー・無線機は、簡易無線になります。
簡易無線には、免許局と登録局の2種類があります。
簡易無線(免許局)
簡易無線(免許局)は1台ごとに免許の申請が必要な無線機です。
送信出力は最大5Wと特定小電力の無線機よりも出力が大きく、広範囲で安定した通信ができます。
出力が大きい分だけ無線機器のサイズも大きくなり、バッテリーの稼働時間も短くなります。
簡易無線(登録局)
登録局は、複数の無線機をまとめて全体で1つの登録状を取得して無線機を開局する方法です。
登録局の無線機は、登録者以外の人も使用が可能なことから、レンタル会社が無線機をユーザーへ貸し出すときなどにも使用します。
長距離で使えるトランシーバー・無線機
全国対応の長距離で使用できるトランシーバー・無線機は、IP無線機とMCA無線機です。
IP無線機
IP無線機は携帯電話を無線機として運用します。
電話会社のサービスエリアなら基本的に日本全国で通信ができて、地下でも高速移動中でも制限なく利用できます
免許申請なしで使用できますが、携帯電話と同様に月額利用料が発生します。
MCA無線機
MCA無線機は、半径約30kmの通信エリアの中継局を、専用回線でつなぎあわせて、全国に通信エリアを拡大した無線機です。
自治体や企業の非常通信やBCP(事業継続計画)などに採用されています。
※2024/9/3追記
MCAアドバンスは2027年3月31日、デジタルMCAサービスは2029年5月31日にサービスを終了することが決定しており、現在新規契約の受付は行っておりません。
特定小電力トランシーバーの通信距離をのばす方法
特定小電力トランシーバーは、遮蔽物の影響を受けやすいというデメリットがありますが、
遮蔽物の影響を受けずに、通信距離をある程度のばす方法があります。
ロングアンテナの機種を選ぶ
特定小電力トランシーバーの通信距離をのばす方法の一つとしては、ロングアンテナの機種を選ぶことです。
トランシーバーはアンテナを介して電波の送受信を行っているため、ロングアンテナの機種を使用することで、通信距離をのばし安定した通信を行うことができます。
中継器をつかう
特定小電力トランシーバーの通信距離をのばすもうひとつの方法としては、中継器を接続して通信エリアをひろげる方法があります。
遮蔽物がある場所や、フロアをまたいだ通信を行う場合は、中継器を設置することで通信距離を延ばすことが可能です。
まとめ
特定小電力トランシーバーは、免許申請や登録をしなくても手軽に利用できる無線機です。
通信距離は100mから1kmの近距離専用となっています。
コンパクトで持ち運びがしやすく、長時間使えるのがメリットですが、一方で遮蔽物の影響を受けやすく、屋内と屋外の通信や地下やフロアをまたいだ場所では、つながりにくいこともあります。
遮蔽物のあるところや、フロアをまたいだ場所で特定小電力トランシーバーを使用する場合は、中継器を使うことで電波がつながりやすくなります。
特定小電力トランシーバーの購入を検討される際は、使う場所や通信距離を確認したうえで用途に合った機種を選びましょう。
追伸
e-無線では特定小電力トランシーバーをはじめ、各種メーカーのトランシーバー・無線機を取り扱いしております。
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