業務改善のアイデア・事例を紹介!ステップやポイントについても解説
DXやデジタル技術という言葉が浸透した昨今、業務改善と聞くとITツール導入によるデジタル化・自動化を想像する方は多いでしょう。もちろん、デジタル化も手段の1つですが、業務改善にはデジタル化以外にも様々な方法があります。
今回は業務改善のアイデア・事例やステップ、成功させるためのポイントについて解説します。
業務改善のアイデア・事例
業務改善のアイデアとして次の5つが挙げられます。
- 働き方の多様化
- アウトソーシングの活用
- デジタル技術の活用
- 業務内容の可視化
- 人材マネジメント
ここでは各アイデアの概要やアイデアを業務改善として落とし込む具体的な事例についてみていきましょう。
1.働き方の多様化
インターネット回線の普及やデジタル技術の進歩、新型コロナウイルスの流行をきっかけに、場所・時間に縛られず働くテレワークが普及しました。テレワークには従業員視点と企業視点で様々なメリットがあります。
従業員視点でみた場合だと、介護や育児など、自身のライフスタイルに応じて、業務に従事できるといったメリットがあります。企業視点では、従業員満足度の向上や、人材流出の防止、BCP対策、交通費といった経費の削減に寄与することが可能です。
総務省が公表した「平成28年度通信利用動向調査の結果」によれば、テレワーク導入企業の生産性は未導入企業と比べて1.6倍高かったそうです。業務を改善する手段として、働き方の多様化も検討してみるとよいでしょう。
2.アウトソーシングの活用
アウトソーシングとは、事務やコールセンターといった社内業務の1部を外部委託することです。リソースが限られている中、すべての事業を自社内で完結するのは困難です。
アウトソーシングを活用すれば、自社に不足している人材・サービスを外部調達することで生産性を向上させられる他、コア事業に集中して競争力強化を図れます。また、アウトソーシング先の知識・ノウハウを用いて、人材育成に寄与することも可能です。
3.デジタル技術の活用
デジタル技術の進歩により、様々な業務改善ツールが登場しています。業務改善に向けて、これらツールを効果的に活用するのも1つの手段です。
業務改善に活用できる代表的なツールとしては次の5つが挙げられます。
- クラウドサービス
- データベース
- RPA
- マーケティングツール
- コミュニケーションツール
どのようなツールなのか、それぞれ詳しくみていきましょう。
クラウドサービス
クラウドサービスとは、インターネット上の仮想のフォルダを開設し、そこに必要なファイル・データを保存・共有するサービスのことです。クラウドサービスを活用した場合、インターネットさえあれば、場所・時間を問わずにアクセスしてファイル・データを更新・閲覧できます。
そのため、業務のムダを削減して効率化できる他、社外にいても問題なく自社のファイル・データを扱えることからテレワーク導入の基盤構築にも寄与できます。
データベース
従業員や部署が保有しているデータを社内で一元管理し、いつでも抽出できるデータベースを構築することも業務改善につながる方法の1つです。データベースを構築しておけば、社内文書や顧客情報といったあらゆるデータを蓄積・参照できます。
担当者ではない従業員が顧客対応したとしても、データベースを活用すれば、情報を確認できるため、無駄なく効率的な顧客対応が行えるようになります。
RPA
RPA(Robotic Process Automation)とは、パソコンで行っている定型業務をソフトウェア型のロボットを活用して自動化するツールのことです。売上集計や経理処理など、定期的に同じ作業を繰り返す業務は少なくありません。
RPAを導入してこれら定型業務を自動化すれば、これまでこれらの作業を行っていた人員を別の業務に充てられるため、業務の効率化を図れます。
マーケティングツール
マーケティングツールとは、マーケティング業務を改善・効率化するためのツール全般のことです。従来はアナログで管理・運用していたものを、デジタルの力で自動化することで、効率よく顧客にアプローチできるようになります。
マーケティングツールには営業支援やデジタルマーケティング支援など、様々な種類がありますが、代表的なツールは次の3つです。
- CRM
- SFA
- MA
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客情報を一元管理して、顧客との関係を構築・維持するツールのことです。CRMは営業やマーケティング、カスタマーサポートといった顧客関係を総合的に管理することで、顧客支援を効率化できます。
そのため、顧客ニーズを的確に把握したり、顧客満足度を向上させたりしたいという場合におすすめです。
SFA(Sales Force Automation)とは、顧客・案件管理などを自動化・効率化させるツールのことです。営業支援ツールとも呼ばれ、営業活動を支援してくれる機能が豊富であるため、営業業務を改善したいという場合に適しています。
MA(Marketing Automation)とは、マーケティング活動を自動化・効率化させるツールのことです。見込み顧客情報を獲得して商談するまでのフェーズを効率化できるため、商談獲得数の向上を図りたいという場合に適しています。
コミュニケーションツール
コミュニケーションツールとは、情報共有や意思疎通といったコミュニケーションを円滑にするためのツールです。
これまでのコミュニケーションツールは、電話やメールが主流でしたが、相手の都合で連絡が取れない、相手が内容を確認したか把握できない、メールの文章に型がありメールの本文を考えるのが手間といったデメリットがありました。
コミュニケーションツールの場合、最低限のマナーさえ押さえておけば、LINEなどと同じ感覚で気軽にやりとりが行えます。また、スタンプ・アクション機能を用いれば、ワンクリックするだけで、簡単に意思表示したり、確認したことを相手に知らせたりすることが可能です。
コミュニケーションツールを活用すれば、やりとりの手間を省けるため、コミュニケーションの円滑化を図れるでしょう。
4.業務内容の可視化
業務内容の可視化も業務改善には欠かせません。可視化すべきものとしては次の4つが挙げられます。
- マニュアル整備
- タスクによる可視化
- 業務フローチャートの可視化
- 情報共有
可視化すべき理由やメリットについてそれぞれ詳しくみていきましょう。
マニュアル整備
業務の中にはマニュアルがなく、属人化しているものも少なくありません。業務が属人化してしまうと、1人の従業員に業務が偏ってしまい、安定した品質を保つことが難しくなります。
担当者・部署ごとの業務内容を把握したうえで、マニュアルを作成・共有することで属人化を防ぎ、業務の標準化を促せます。
タスクの可視化
部署・担当者ごとに日別・週別でタスクを可視化することで、業務内容や業務進捗の把握が可能です。
業務内容・業務進捗が把握できれば、業務量のバラつきの是正やムラの削減に使用できるため、業務改善につなげられます。
業務フローチャートによる可視化
業務フローチャートを作成し、プロセスを可視化すれば、業務全体の流れを把握できます。
業務全体の流れを把握できれば、ムダな業務の発見につながるため、組織再構築によって業務を改善することが可能です。
情報共有
日々の報告・連絡・相談を徹底し、内容を可視化しておきましょう。内容を可視化しておけば、業務の課題・進捗を社内で共有できるため、迅速な業務遂行および適切な経営判断が下せるようになります。
また、知識・ノウハウを共有できるため、サービスの質の向上にも寄与できるでしょう。ただし、紙媒体で管理すると、社内全体で情報共有するのには限界があります。
そのため、デジタル技術も駆使しながら、社内全体で共有できる仕組みを構築することが大切です。
5.人材マネジメント
業務改善はデジタル技術の導入や業務改革だけではありません。人材のマネジメントも立派な業務改善施策の1つです。
人材マネジメントの方法としては次の2つが挙げられます。
- 人材の再配置
- キャリアアップ支援
それぞれ詳しくみていきましょう。
人材の再配置
業務内容および従業員の特性が可視化されると、適切な人材の配置が可能となります。適材適所の人員配置が行えれば、従業員は得意な分野で自身の力を発揮できるため、モチベーションの向上に寄与できます。
モチベーションが向上すれば、業務の効率化を図れる他、成果を最大化させることも可能です。
キャリアアップ支援
最適な人材配置が進めば、企業の得意領域や不足している領域が明確となります。不足している領域が把握できれば、経営目標に合わせた従業員育成計画を立案・実施することが可能です。
また、従業員のキャリアアッププランを把握しておけば、企業の不足領域を補うだけでなく、従業員のキャリアアップ支援にもつなげられます。
業務改善の具体的なステップ
業務改善の具体的なステップは次のとおりです。
- 現状の把握
- 課題点の洗い出し
- スケジュールの策定
- 改善策の実施
- 効果検証
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.現状の把握
業務改善を進めるためには、現状の業務内容をしっかりと把握することが大切です。現状を把握していないと、どこに問題点があるのか洗い出すことができません。
そのため、担当者や担当業務、作業工数などを棚卸ししておきましょう。
2.課題点の洗い出し・優先順位をつける
業務内容を把握したら、課題の洗い出しを行います。作業工数が少ない簡単な業務にもかかわらず、作業時間がかかっているのであれば、その原因が何か、業務を具体的に想像して分析してみましょう。
考えられる課題点を挙げていき、それらをまとめていきます。課題点をまとめたら、課題に優先順位をつけていきましょう。
ただし、洗い出した課題点を1度に解決することはできません。そのため、早急に解決すべき課題点は何かを分析し、課題点に優先順位をつけることが大切です。
3.優先順位付け・スケジュールの策定
改善すべき業務が決まったら、業務改善に向けて具体的なスケジュールを策定しましょう。改善すべき業務が決まっても、段取りを決めていないと、業務改善が頓挫するリスクがあります。
実施効果を高めるには、業務改善に向けたスケジュールの策定が欠かせません。
4.改善策の実施・効果検証
業務改善策を実施していきます。ただし、改善策を実施しても、すぐに効果が出るわけではありません。
そのため、中長期的に取り組むことが大切です。
5.効果検証
改善策は実施して終わりではありません。改善策を実施後は効果検証を行い、改善のPDCAを回しましょう。
効果検証を行うことで、業務のさらなる効率化が期待できます。
業務改善を成功させるための3つのポイント
業務改善を成功させるためのポイントとして次の3つが挙げられます。
- 長期的に取り組むようにする
- 社内全体で改善意識を持つ
- ミスはフィードバックとして活用する
それぞれ詳しくみていきましょう。
長期的に取り組むようにする
業務改善を成功させるためには現状の把握~効果検証といった一連のプロセスを踏まなければならないため、短期間で成果が出るだけではありません。短期間に成果を出そうとすると、適切なアクションを実施できず成果が得られなかったり、途中で頓挫したりするリスクが高まります。
そのため、ある程度時間がかかることを前提に余裕を持ったスケジュールを策定して、長期的に取り組むことが大切です。
社内全体で改善意識を持つ
経営陣がただ業務改善命令を下すだけでは、現場から反発を買ってしまい、業務改善が進みません。そのため、業務改善のメリットや成功事例をしっかりとして説明するなどして積極的に働きかけ、社内全体で改善意識を持たせることが大切です。
改善意識が生まれれば、自らの業務に対して改善できる点はないか見つける土壌も醸成できるため、業務改善の取り組みを活性化させることにもつながります。
ミスはフィードバックとして活用する
業務改善に取り組んでいれば、ミスしたり、効果が出なかったりするという事態は当然出てきています。この時大事なのは失敗として終わらせるのではなく、なぜうまくいかなかったのかを整理・反省し、フィードバックとして活用することです。
フィードバックとして活用することで、業務改善の成功に一歩ずつ近付くことができるでしょう。
まとめ
業務改善と聞くとITツール導入によるデジタル化を想像しがちですが、当記事で解説したとおり、様々なアイデア・事例があります。業務内容をしっかりと把握したうえで、適切な改善策を実施できれば、業務改善の成功はそんなに難しいことではないでしょう。
ただし、業務改善は短期的に実現することは難しく、社内全体で改善意識を持って取り組まなければなりません。そのため、業務改善を成功させるためには、業務改善のメリットや成功事例を説明するなどして社内全体を巻き込み、余裕を持ったスケジュールで進めていくことが大切です。