コミュニケーションツールとは?ビジネスで活用するメリットやツールを選ぶ際のポイントを解説
「コミュニケーションツール」とは近年、多くの企業が連絡手段として導入しているデジタルツールです。テレワークの普及や働き方の多様化などに伴い、電話やメールに変わる新しい連絡手段として注目を浴びるようになりました。
今回はコミュニケーションツールの概要やツールの種類、ビジネスで活用するメリット、ツールを選ぶ際のポイントについて解説します。
コミュニケーションツールとは?
「コミュニケーションツール」とは、情報を共有・伝達するために用いられるツールです。従来の連絡手段は、電話やメールが主流でした。
しかし、働き方の多様化や新型コロナウイルス流行を契機としたテレワークの普及などを背景に、コミュニケーションツールが注目を浴びるようになります。現在では気軽にやりとりできるといった理由から、多くの企業で導入されています。
メールとの違い
メールとの大きな違いは「やりとりの気軽さ」です。メールでのやりとりだと、ビジネスマナーとして本題前に定型の挨拶文を記載しなければなりません。また、相手がメールを確認したかどうか返信がないと分からないといったデメリットもあります。
一方、コミュニケーションツールであれば、LINEやInstagram DMのような気軽なやりとりが可能です。また、リアクション機能を用いれば、相手がメッセージを確認したかどうかも伝えられるため、返信の手間も省きながら、円滑な意思伝達も可能となります。
プライベート向けとビジネス向けツールの違い
「Chatwork」や「Slack」といったビジネス向けツールと、「LINE」や「Messenger」といった個人向けツールの違いはほとんどありません。ただ、ビジネス向けツールは企業の利用を前提に開発されています。
そのため、管理者権限やIPアドレス・未許可デバイスからのアクセス制限など、個人向けツールと比べるとセキュリティ機能がしっかりしているのが特長です。
コミュニケーションの課題解決にコミュニケーションツールは最適
HR総研が2022年3月に公表した「社内コミュニケーションに関するアンケート2022」によると、「社内コミュニケーション不足は業務の障害となる」と思っているのは全体の9割以上でした。
また、「社内のコミュニケーションに課題があるか」という質問に対して、「あると思う」と回答したのは7割を超えているそうです。課題と感じる関係性としては「経営層と社員間」「部門間」が多く挙げられていました。
「経営層と社員間」でコミュニケーション不足に陥ると目指すべき方向への認識共有が困難となり、「部署間」でのコミュニケーション不足が起きると、情報共有や連携不足に陥りかねません。
気軽にやりとりできるコミュニケーションツールは、企業全体のコミュニケーションを活性化する手段として非常に有用なツールといえるでしょう。
コミュニケーションツールの代表的な3つの機能
コミュニケーションツールの代表的な機能として次の3つが挙げられます。
- チャット・グループチャット
- ビジネスサポート
- 通話・オンラインミーティング
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.チャット・グループチャット
コミュニケーションツールのメインとなる機能が、「チャット機能」です。LINEなどのようにやりとりする相手のトークルームを開けば、メールのようなアドレス入力や定型挨拶文は不要で、気軽にコミュニケーションを取れます。
また、1対1でのチャット機能だけでなく、部署やプロジェクトメンバーなど関連する人を加えたグループチャット機能もあります。グループチャット機能であれば、CCなどのように多くのアドレスを入力する必要もないため、複数人にも迅速かつ円滑な情報共有が可能です。
2.ビジネスサポート
ビジネスをサポートしてくれる機能が充実しているのもコミュニケーションツールの特長です。ビジネスをサポートしてくれる代表的な機能としては次の2つが挙げられます。
- タスク管理機能
- ファイル共有機能
「タスク管理機能」があれば、業務の指示や進捗管理はもちろん、期日設定や完了報告までのプロセスをツール上で一元管理することが可能です。
「ファイル共有機能」があれば、コミュニケーションツールからWordやPDFといったファイルをドラッグ&ドロップで簡単に共有できます。チャットのリアクション機能と併用すれば、ファイル内容を確認したかどうかをリアクションで把握できるため、やりとりの手間を省きながら円滑な情報共有・意思伝達が可能です。
3.通話・オンラインミーティング
通話・オンラインミーティング機能が搭載されているのもコミュニケーションツールの特長です。
文章でのやりとりでは情報伝達が難しい場合には、通話機能やオンラインミーティング機能を用いるとよいでしょう。
ビジネス向けコミュニケーションツールの種類
ビジネス向けコミュニケーションツールの種類として次の6つが挙げられます。
- チャットツール
- オンラインミーティングツール
- 社内SNS
- グループウェア
- バーチャルオフィスツール
- 無線
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.チャットツール
SNSのような気軽さでやりとりできるのがチャットツールです。ビジネス向けのチャットツールとしては「Chatwork」や「Slack」などが挙げられます。
1対1のチャット機能をはじめ、グループチャット機能やタスク管理機能、ファイル管理機能、通話・ビデオ通話機能など、ツールによって様々な機能が備わっています。機能が多いとその分、コストがかかるため、自社に必要な機能だけが揃っているツールを導入するようにしましょう。
2.オンラインミーティングツール
「オンラインミーティングツール」も代表的なコミュニケーションの1つです。オンラインミーティングツールを用いれば、インターネットを介してリアルタイムでコミュニケーションを取ることが可能です。
ツールによってはチャット機能や画面共有も搭載されています。そのため、会議やミーティングといった社内コミュニケーションだけでなく、面接や面談、商談というように社外コミュニケーションにも活用可能です。
3.社内SNS
「社内SNS」とは、社内利用に限定したコミュニケーションツールです。社員同士のコミュニケーションを活性化するために用いられ、LINEのような感覚で画像や動画、スタンプを送り合えたり、掲示板に書き込んだりといった機能があります。
他のツールと比べるとカジュアルですが、近年は利便性の向上などによって機能面での差異はなくなりつつあります。
4.グループウェア
「グループウェア」とは、企業向けのコミュニケーションツールの総称です。社内SNSやタスク管理、Webメールなど、様々な機能が備わっています。
定着するまでは使い分けが大変ですが、これら機能を網羅的に用いたいという場合には、グループウェアの導入を検討するとよいでしょう。
5.バーチャルオフィスツール
「バーチャルオフィスツール」とは、アバターを用いて仮想空間にログインすることで、リモートでありながら、実際に出社した感覚で業務を行えるツールです。リモートワークの場合、オフィスで行われていた挨拶や、ちょっとした雑談などのコミュニケーションは取れません。
そのため、従業員の孤立や、一体感・会社への帰属意識が損なわれるといった懸念があります。バーチャルオフィスツールを活用すれば、出社した感覚で業務を行えて、アバターの表示で勤務状況を把握できます。
また、アバター同士が近寄るとオフィスと同じように感覚で声をかけてコミュニケーションが取れるため、従業員同士の交流を促進することも可能です。
6.無線
現場でのコミュニケーションツールとしては「無線」がおすすめです。無線を用いれば、複数人に向けて一斉に音声通信ができるため、迅速な情報共有が行えます。
工場や飲食店、ホテル、結婚式場など、現場でのコミュニケーションを円滑にしたいのであれば、無線の導入を検討するとよいでしょう。また、無線と聞くと警備員が所持しているようなゴツいタイプを想像する方は多いでしょう。
しかし、近年はスマートでおしゃれな機種や、スマホで使用できる無線アプリが登場するなど、無線も多様化しています。タイプによって特徴やメリット・デメリットが大きく異なるため、導入前にしっかりと確認する必要はあるものの、無線の選択肢は以前よりも広がってきているといえるでしょう。
コミュニケーションツールを導入する3つのメリット
コミュニケーションツールを導入するメリットとして次の3つが挙げられます。
- コスト削減
- コミュニケーションの活性化
- 業務の効率化
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.コスト削減
コミュニケーションツールを導入することで「コスト削減」が可能です。例えば、対面会議の場合、資料の印刷コストがかかりますし、遠方にある支社から会議に参加する場合は往復の交通費や宿泊費といったコストがかかります。
また、大規模な会議の場合、別途会場を手配しなければならないため、会場のコストもかかります。一方、オンラインミーティングツールによってオンラインでの会議にすれば、上記コストは一切かかりません。
そのため、コストを大幅に削減することが可能です。
2.コミュニケーションの活性化
チャットツールや社内SNSのメリットは、意思の伝達に文字が必須ではないという点です。例えば、相手のメッセージに対して、絵文字を送信したり、スタンプでリアクションをしたりするなどのカジュアルなやりとりが行えます。
また、これらのコミュニケーションツールはスマホアプリとしても使用できるため、社外にいてもメッセージを確認でき、コミュニケーションを取る機会を増やせます。機会が増えれば、必然的にコミュニケーションが活性化するため、一体感を高めたり、チーム内の雰囲気を良くしたりすることが可能です。
3.業務の効率化
業務効率化に寄与できるのも、コミュニケーションツールを導入するメリットです。「メールとの違い」でも触れたとおり、メールだと定型の挨拶文を添えるなど、ビジネスメールの形式を意識しなければなりません。
そのため、情報伝達に手間や時間を要します。一方、チャットツールの場合はカジュアルなやりとりが行えるため、最低限のマナーさえ押さえておけば、形式を気にすることなく、要件だけを伝達することが可能です。
また、部署やプロジェクト単位でグループチャットを設定しておけば、複数人に対して一斉に情報共有できます。メールのように複数人のアドレスを宛先に入力する手間も省けるため、業務効率化を図れるでしょう。
コミュニケーションツールを選ぶ際の4つのポイント
コミュニケーションツールを選ぶ際のポイントとして次の4つが挙げられます。
- 課題の洗い出し・導入目的の明確化
- 必要な機能の実装有無
- アプリ対応の有無
- 誰でも使いやすいアプリかどうか
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.課題の洗い出し・導入目的の明確化
コミュニケーションツールをただ導入しただけでは、どのように活用すればよいか分からず、いつのまにか使用しなくなったという事態になりかねません。
そのため、自社のコミュニケーション課題は何かしっかりと洗い出した上で、導入目的を明確にしておくことが大切です。
2.必要な機能の実装有無
ツールごとに実装されている機能は異なります。そのため、必要な機能が揃っているツールかどうか、導入前に確認しておきましょう。
また、必要な機能が備わっているツールが複数あったとしても、料金プランによって使用できる機能が違う可能性があります。オプション機能で別途追加費用が必要だったということがないように、プラン内容もしっかりと確認しておくことが大切です。
3.アプリ対応の有無
アプリの対応有無についても確認しておきましょう。パソコンやスマホ、タブレットといったマルチデバイス対応型のツールであれば、場所の制限がないため、メッセージの返信やデータの確認などもスムーズに行えます。
業務効率化やコミュニケーションの活性化を目的にコミュニケーションツールを導入するのであれば、アプリ対応は必須です。
4.誰でも使いやすいアプリかどうか
誰でも使いやすいアプリかどうかも重要なポイントです。使用しづらいアプリだと定着しづらい他、アプリ操作の苦手な方が付いていけず、孤立したり、業務に支障が生じたりするリスクがあります。
そのため、アプリ操作の苦手な方でも使いやすいツールを選ぶことが大切です。多くのツールでデモ版やお試し期間が用意されているため、使いやすいかどうか導入前に利用して試してみてもよいでしょう。
まとめ
コミュニケーションツールを導入すれば、円滑なやりとりが可能となるため、業務の効率化やコスト削減につなげられます。ただし、コミュニケーションツールといってもチャットツールやオンラインミーティングツールなど、種類は様々です。
また、同じ種類であってもサービスによって実装されている機能は異なります。そのため、自社のコミュニケーション課題を洗い出しや導入目的の明確化を行い、自社に適したツールを選ぶことが大切です。