改善提案のネタを見つける方法とは?改善提案がもたらすメリットについても解説
業務を効率化していくためには、改善すべき点すなわち「ネタ」を見つけることが非常に重要です。しかし、日々業務をこなしていると、何が悪いのか、どこを効率化すれば良いのか分からないという方も多いでしょう。
今回は改善提案の概要や改善提案がもたらすメリット、改善提案のネタを見つける方法について解説します。
改善提案とは?
「改善提案」とは、「業務改善提案」ともいい、現状の業務の課題点を洗い出して、改善案を上司や経営層に提案することです。改善提案の基本となるのが3Mの排除です。
理想的な作業環境とは、負荷(作業量)と能力(キャパシティ)が均衡している状態を指します。「3M」とは、この均衡を崩すムリ・ムダ・ムラの3要素のことです。
3Mの具体的な要素としては以下が挙げられます。
- ムリな納期設定・業務量
- ムダな作業・人材
- 人件費・業務量のムラ
様々な施策がありますが、改善提案は基本的に3Mの排除に集約されているといえるでしょう。
改善提案で重要なこととは?
改善提案で重要なことは、業務上の課題を発見することです。業務上の課題を発見できなければ、改善提案を行えませんし、提案を行ってもなぜ改善する必要があるのか根拠を提示できません。
改善提案を行っていくためには、業務上の課題点が何なのかしっかりと把握し、洗い出していくことが大切です。
改善提案が生まれない企業の問題点
改善提案は内容次第で、業務の大幅な効率化を図れたり、経営を向上させたりできます。しかし、魅力的な改善提案が生まれず、中々業務改善を図れないという企業も少なくありません。
魅力的な改善提案が生まれないのは、多くの従業員が上司からの指示で仕方なく、課題点を探しているからです。また、改善提案をしても管理側から繰り返し却下されてしまうことで、提案しても意味がないとネガティブになってしまい、悪循環に陥っていることも考えられます。
魅力的な改善提案を生み出すためには、従業員が自発的に考えるような環境を整備したり、好循環を生み出すような仕組みを構築したりしなければなりません。
改善提案をして課題を解決する3つのメリット
改善提案をして課題を解決するメリットとして次の3つが挙げられます。
- 生産性の向上
- 工数削減によるコストダウン
- 従業員満足度の向上
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.生産性の向上
改善提案によって、業務プロセスが見直されれば、効率化によって作業ミスの削減や、業務自動化による作業時間の削減、プロセスの簡素化による作業時間の短縮が行えます。
その結果、業務プロセスをスムーズにできるため、生産性の向上が可能です。
2.工数削減によるコスト削減
改善提案によって課題解決できれば、工数削減によるコストの削減ができます。例えば、作業時間を短縮できれば、電気代や水道代といった光熱費の削減が可能です。
また、作業を自動化すれば人件費を削減できる他、作業ミスも低減できるため、再作業の手間をなくして材料コストの削減にもつなげられます。
3.従業員満足度の向上
改善提案によって業務の効率化や、業務の自動化に成功すれば、従業員の負担を軽減でき、残業時間の削減にもつなげられるため、従業員満足度を向上させられます。
従業員満足度を向上させられれば、離職防止にもつなげられるため、人員流出による従業員不足のリスクも低減できるでしょう。
改善提案のネタの事例
改善提案のネタの具体的な事例としては以下が挙げられます。
- コミュニケーション不足
- 現場でのコミュニケーション効率が悪い
- 日報・点検報告・ヒヤリハット報告が紙による管理
- データ入力といった単純作業に膨大な時間がかかっている
「コミュニケーション不足」が課題点という場合は、チャットツールを導入することで、従業員同士が気軽に情報のやりとりを行える環境を整備できます。
「現場でのコミュニケーション効率が悪い」のが課題点である場合、無線を導入すれば、複数人に対して一斉に業務連絡を行えるため、課題改善できる可能性が高いです。
「日報・点検報告・ヒヤリハット報告が紙による管理」である場合、デジタル化することで、迅速な報告が可能となる他、社外で日報を書けるため、従業員の負担を減らせます。また、クラウド管理であれば、社内全体で共有しやすくなるため、情報伝達しやすいといったメリットもあります。
「データ入力で膨大な時間がかかっている」のであれば、業務を自動化するツールを導入することで課題を改善することが可能です。
改善提案のネタを見つける6つの方法
改善提案のネタを見つける方法として次の6つが挙げられます。
- 過去の事例を参考にする
- 業務プロセスの可視化
- テーマを絞ってみる
- 日報をチェックする
- 手間のかかる業務をピックアップする
- ユーザーの声をチェックする
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.過去の事例を参考にする
改善提案のネタが思いつかない場合、過去の事例を参考にしてみるのも1つの手段です。過去の事例を参考にしながら、課題に適した内容に修正したり、導入しやすい改善案にアレンジしたりしてみるとよいでしょう。
参考にした事例が過去に成功したものであれば、導入ハードルが低く、効果が期待できる他、上司や経営層を説得しやすいといったメリットもあります。
2.業務プロセスの可視化
改善提案のネタを見つける際、業務プロセスを詳細に書き出して、可視化してみるとよいでしょう。
可視化することで、業務全体を把握しやすくなりますし、頭の中で考えていた時には発見できなかった小さな課題を発見することができます。
3.テーマを絞ってみる
テーマを絞ってみるのも、改善提案のネタを見つける方法の1つです。業務内容は非常に多岐に渡るため、業務全体から改善提案のネタを見つけるとなるとテーマが曖昧になりやすく、具体的なアイデアも出にくくなります。
業務内容やコスト、納期などのどんなものでもよいため、テーマを絞ってみましょう。テーマを絞れば、見るべき範囲が限定されるため、ネタが出やすくなる可能性があります。
4.日報をチェックする
社員が記入している日報は、改善提案のネタが詰まっているツールの1つです。日報には社員の悩みや不満、企業が改善すべき点などが記載されている可能性があります。
全社員で共有できる日報であれば、部署外の従業員の状況も把握できるため、部署内だけでなく、企業全体で改善すべき課題を把握できる可能性も高いです。日報を導入している企業は、改善提案のネタ探しに日報を活用してみるとよいでしょう。
5.手間のかかる業務をピックアップする
要領がよい従業員や日頃から手間のかかる業務を行っている従業員ほど、改善提案のネタを見つけられる可能性があります。そのため、そのような従業員に日々の業務で手間がかかる、面倒だと感じる業務をピックアップしてもらうのも1つの方法です。
手間のかかる業務をピックアップしてもらうことで、効率よくネタを見つけられます。
6.ユーザーの声をチェックする
ユーザーの声は商品やサービスへの評価が詰まっています。
そのため、ユーザーの声をチェックすれば、すぐに改善提案のネタを洗い出すことができるでしょう。
改善提案する際の3つのポイント
改善提案をする際のポイントとして次の3つが挙げられます。
- 効果測定しやすい提案を行う
- 課題を順位付けする
- 改善によって負荷が増えないか確認する
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.効果測定しやすい提案を行う
改善提案をする際は、効果測定しやすい提案を行いましょう。提案した改善策を講じても、どのように改善するのかを提示できなければ、上司や経営層には受け入れられません。
そのため、効果は作業時間短縮やコスト・ミス削減など、数値で測定できる要素を指標にしましょう。定量的に測れる数値を指標にすれば効果測定しやすくなるため、改善策の効果も具体的に提示でき、上司や経営層を説得しやすくなります。
2.課題を順位付けする
課題を見つけたら、優先順位を付けることも大切です。多くの課題を見つけても、それらをすべて実行することはできません。
目的達成に向けて優先すべき課題は何か見つけるためにも、費用対効果や実際に実行できるかなどを加味しながら、課題に順位付けしていく必要があります。
3.改善によって負荷が増えないか確認する
業務改善によって、従業員の負荷が増えたり、設備投資によって財務的な負担がかかったりするリスクもあります。
改善提案する際は、改善によって負荷が増えないかを確認し、負荷がかかる場合はその負荷を軽減する策を練っておかなければなりません。
改善提案書に記載すべき5つの項目
改善提案書に記載すべき項目として次の5つが挙げられます。
- 現状の課題点
- 課題改善案
- 改善にかかるコスト
- 最終的なゴール
- スケジュールの策定
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.現状の課題点
改善提案書には、現状の課題点を記載することが重要です。課題点を記載する際は、課題点の原因分析や課題点がもたらす影響もまとめて記載しましょう。
例えば、膨大なデータ入力を長時間行っているのが課題点としましょう。その場合、なぜ膨大なデータ入力を長時間行っているのか原因を特定し、手間を削減する対策を講じる必要があります。
また、膨大なデータ入力を長時間行うことで、入力ミスによる再作業や長時間作業による従業員への負担も考えられるため、どのような影響があるのか把握することが大切です。
2.課題改善案
現状の課題点を解決するための具体的な改善案も示す必要があります。ただ、課題の改善案を示しただけでは意味がありません。
改善案を示す際は、実施した際の効果や、実現可能性についても提示するようにしましょう。
3.改善にかかるコスト
改善にかかるコストも記載しましょう。例えば、自動化に向けて新しいツールを導入する場合は設備費がかかりますし、人的リソースを確保する際は改善業務を担当する従業員の労務費や給与といった人件費がかかります。
必要なコストを明確にすれば、予算調整や見積もりにも役立てられる他、実現可能性の信憑性を高めることが可能です。
4.最終的なゴール
改善提案する際は、改善策による最終的なゴールも忘れずに記載しましょう。ゴールの記載例としては以下が挙げられます。
- コスト削減:業務プロセスの改善・設備の見直しを実施して、2%のコスト削減を行う
- 顧客満足度の向上:ユーザーのレビューを基にサービスを改善し、顧客満足度を前年比よりも1.5ポイント上昇させる
数値も交えながら、最終的なゴールを提示することで、改善の方向性を明確にすることが可能です。
5.スケジュールの策定・可視化
スケジュールを策定・可視化し、改善提案書に記載しておくことも大切です。スケジュールを策定する際のポイントとしては以下が挙げられます。
- 実施期間の明確化
- スケジュールに順位付けを行う
- 余裕を持ったスケジュールにする
改善スケジュールを策定する場合、まずは改善提案を行う期間を明確化し、そこから詳細なスケジュールを組み立てるのが一般的です。実施期間は改善提案書作成から改善完了までの期間を定めるのがベターです。
行うべき改善策が複数ある場合は、スケジュールに順位付けを行いましょう。優先順位を明確にすることで、効率的に業務を改善していけます。
すべてスケジュール通りに進むわけではありません。予期せぬ問題やトラブルが発生したり、想定よりも改善されていなかったりする可能性があります。
このような状況を想定して、余裕を持ったスケジュールにしておくことも大切です。
コミュニケーション効率が悪い場合は「無線」の利用がおすすめ!
現場でのコミュニケーション効率の悪さが原因で、無駄な作業が発生している場合、無線の利用をおすすめします。代表的な通信手段としては携帯電話が挙げられますが、携帯電話は電話帳から相手を選択する手間がかかる他、1人にしか音声通信できません。
チャットツールのグループトークであれば、複数人に対して一斉に情報伝達できますが、文字入力する手間がかかるため、現場での連絡手段としては不向きです。
一方、無線であれば、複数人に対して一斉に音声通信が行えます。そのため、素早い情報伝達が可能であり、コミュニケーションを効率化することが可能です。
まとめ
「改善提案」とは、現状の業務を効率化するために改善案を提案することです。改善を提案するためには、改善すべき点すなわち、「ネタ」を見つける必要があります。
しかし、業務は非常に多岐に渡るため、改善提案のネタを見つけることは容易ではありません。また、上司に指示されて仕方なくネタ探しをしていたり、改善提案しても頭ごなしに却下したりしている場合、改善提案が生まれない悪循環に陥っている可能性があります。
質の高い改善提案を生み出していくためには、当記事で紹介した改善提案のネタを見つける方法を押さえるだけでなく、改善提案が自然に生まれる企業環境を整備することが大切です。