特定小電力トランシーバーの周波数一覧!チャンネル互換表や注意点についても解説
特定小電力トランシーバーに使用されている周波数は同じであるため、メーカー関係なくすべての機種に互換性があります。ただし、チャンネルの設定方法によっては、周波数が合わず通信できない場合があるため、注意が必要です。
今回は特定小電力トランシーバーの周波数やチャンネル互換表、他社機器と通信する際の注意点について解説します。
周波数とは?
「周波数」とは、1秒間に繰り返される波の数のことで、単位はHz(ヘルツ)を用いています。例えば、周波数が50Hzだとしましょう。
この場合、波(上下で1組)が1秒間に50回繰り返しているということです。無線においてはMHz(メガヘルツ)帯が使用されていますが、1MHzは1,000,000Hzに相当します。
特定小電力トランシーバーの周波数一覧
特定小電力トランシーバーの周波数は以下のとおりです。
- 422.2MHz~422.3MHz
- 421.8125MHz~421.9125MHz
- 440.125MHz~440.25MHz
- 442.05MHz~422.1875MHz
- 422.1875MHz
- 421.575MHz~421.8MHz
- 440.125MHz~440.25MHz
- 421.8MHz・440.25MHz
- 413.7MHz~414.14375MHz
- 454.05MHz~454.19375MHz
特定小電力トランシーバーを他社の機器で使用する際の注意点
特定小電力トランシーバーは前項で示した周波数を使用しており、これはどの無線メーカーの機種でも変わりません。そのため、すべての機種において互換性があります。
しかし、メーカーによって周波数に割り当てているチャンネルは異なるため、同じチャンネルであっても周波数が違って音声が通じないという場合があります。そのような場合は、同じ周波数を使用しているチャンネルに合わせなければなりません。
各特定小電力トランシーバーのチャンネルの互換性については、次項で紹介するチャンネル互換表で確認できます。
特定小電力トランシーバーのチャンネル互換表
特定小電力トランシーバーのチャンネル互換表を以下4項目に分けて紹介します。
- 単信11ch
- 単信9ch
- 中継18ch
- 中継9ch
それぞれ詳しくみていきましょう。
※モトローラの無線である「L40」「CL40L」「CL45」「CL70A」「CL120A」については、スタンダードの八重洲無線やPKシリーズと同じ表示です。
単信11ch
周波数(MHz) | スタンダード 八重洲無線 PKシリーズ FTHシリーズ | スタンダード HXシリーズ | モトローラ | JVC KENWOOD | アイコム | アルインコ | wave CSR |
422.0500 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | b01 | 1 |
422.0625 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | b02 | 2 |
422.0750 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | b03 | 3 |
422.0875 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | b04 | 4 |
422.1000 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | b05 | 5 |
422.1125 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | b06 | 6 |
422.1250 | 7 | 7 | 7 | 7 | 7 | b07 | 7 |
422.1375 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | b08 | 8 |
422.1500 | 9 | 9 | 9 | 9 | 9 | b09 | 9 |
422.1625 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | b10 | 10 |
422.1750 | 11 | 11 | 11 | 11 | 11 | b11 | 11 |
単信9ch
周波数(MHz) | スタンダード 八重洲無線 PKシリーズ FTHシリーズ | スタンダード HXシリーズ | モトローラ | JVC KENWOOD | アイコム | アルインコ | wave CSR |
422.2000 | 1 | 1 | 12 | h1 | 12 | L01 | 12 |
422.2125 | 2 | 2 | 13 | h2 | 13 | L02 | 13 |
422.2250 | 3 | 3 | 14 | h3 | 14 | L03 | 14 |
422.2375 | 4 | 4 | 15 | h4 | 15 | L04 | 15 |
422.2500 | 5 | 5 | 16 | h5 | 16 | L05 | 16 |
422.2625 | 6 | 6 | 17 | h6 | 17 | L06 | 17 |
422.2750 | 7 | 7 | 18 | h7 | 18 | L07 | 18 |
422.2875 | 8 | 8 | 19 | h8 | 19 | L08 | 19 |
422.3000 | 9 | 9 | 20 | h9 | 20 | L09 | 20 |
中継18ch
周波数(MHz) | 周波数(MHz) | スタンダード 八重洲無線 PKシリーズ FTHシリーズ | スタンダード HXシリーズ | モトローラ | JVC KENWOOD | アイコム | アルインコ | wave CSR |
440.0250 | 421.5750 | 12 | 中継01 | 21 | 1 | 1 | b12 | 1 |
440.0375 | 421.5875 | 13 | 中継02 | 22 | 2 | 2 | b13 | 2 |
440.0500 | 421.6000 | 14 | 中継03 | 23 | 3 | 3 | b14 | 3 |
440.0625 | 421.6125 | 15 | 中継04 | 24 | 4 | 4 | b15 | 4 |
440.0750 | 421.6250 | 16 | 中継05 | 25 | 5 | 5 | b16 | 5 |
440.0875 | 421.6375 | 17 | 中継06 | 26 | 6 | 6 | b17 | 6 |
440.1000 | 421.6500 | 18 | 中継07 | 27 | 7 | 7 | b18 | 7 |
440.1125 | 421.6625 | 19 | 中継08 | 28 | 8 | 8 | b19 | 8 |
440.1250 | 421.6750 | 20 | 中継09 | 29 | 9 | 9 | b20 | 9 |
440.1375 | 421.6875 | 21 | 中継10 | 30 | 10 | 10 | b21 | 10 |
440.1500 | 421.7000 | 22 | 中継11 | 31 | 11 | 11 | b22 | 11 |
440.1625 | 421.7125 | 23 | 中継12 | 32 | 12 | 12 | b23 | 12 |
440.1750 | 421.7250 | 24 | 中継13 | 33 | 13 | 13 | b24 | 13 |
440.1875 | 421.7375 | 25 | 中継14 | 34 | 14 | 14 | b25 | 14 |
440.2000 | 421.7500 | 26 | 中継15 | 35 | 15 | 15 | b26 | 15 |
440.2125 | 421.7625 | 27 | 中継16 | 36 | 16 | 16 | b27 | 16 |
440.2250 | 421.7750 | 28 | 中継17 | 37 | 17 | 17 | b28 | 17 |
440.2375 | 421.7875 | 29 | 中継18 | 38 | 18 | 18 | b29 | 18 |
中継9ch
周波数(MHz) | 周波数(MHz) | スタンダード 八重洲無線 PKシリーズ FTHシリーズ | スタンダード HXシリーズ | モトローラ | JVC KENWOOD | アイコム | アルインコ | wave CSR |
440.2625 | 421.8125 | ₁0 | 中継1 | 39 | CHh1 | 19 | L10 | 19 |
440.275 | 421.825 | ₁1 | 中継2 | 40 | CHh2 | 20 | L11 | 20 |
440.2875 | 421.8375 | ₁2 | 中継3 | 41 | CHh3 | 21 | L12 | 21 |
440.3 | 421.85 | ₁3 | 中継4 | 42 | CHh4 | 22 | L13 | 22 |
440.3125 | 421.8625 | ₁4 | 中継5 | 43 | CHh5 | 23 | L14 | 23 |
440.325 | 421.875 | ₁5 | 中継6 | 44 | CHh6 | 24 | L15 | 24 |
440.3375 | 421.8875 | ₁6 | 中継7 | 45 | CHh7 | 25 | L16 | 25 |
440.35 | 421.9 | ₁7 | 中継8 | 46 | CHh8 | 26 | L17 | 26 |
440.3625 | 421.9125 | ₁8 | 中継9 | 47 | CHh9 | 27 | L18 | 27 |
アナログ周波数の停波に伴い1部特定小電力トランシーバーが使用できなくなる
アナログ周波数の停波とは、電波法に基づき2024年11月30日に予定されているアナログ簡易無線の使用停止のことです。2024年11月30日以降に停波を予定しているアナログ無線を使用した場合、電波法違反として罰せられます。
そのため、期日までに必要な手続きを踏んで、変更・停止の手続きやデジタル簡易無線の切り替えなどを行わなければなりません。
停波する理由
低下する1番の理由は、無線を有効活用するためです。無線は有限な希少資源であり、無尽蔵に存在しているわけではありません。
しかし、現代では民間・消防救急・鉄道といった各種無線だけでなく、テレビ・ラジオや携帯電話など、様々な場所で電波が用いられています。今後も利用ニーズが高まることが予想されることから、電波を効率的に活用できるデジタル方式に統一し、アナログ方式は廃止されることとなりました。
停波する周波数
2024年11月30日に停波が予定されている周波数は以下のとおりです。
- 350MHz帯(348.5625MHz~348.8MHzの「小エリア簡易無線局」)
- 400MHz 帯(465.0375 ~ 465.15MHz 、468.55MHz ~ 468.85MHz)
停波の対象となっている周波数はアナログ簡易無線の周波数です。したがって、特定小電力トランシーバーのアナログ方式が廃止されるというわけではありません。
使用できなくなる特定小電力トランシーバーについて
ただし、今回の停波によって使用できなくなる特定小電力トランシーバーもあります。それが「旧規格(旧スプリアス)」の特定小電力トランシーバーです。
スプリアスとは、不要な電波という意味で、スプリアス発射の強度が高いほど、所定の周波数を外れた不要な電波が発生していることになります。使用している特定小電力トランシーバーが旧規格である場合、速やかに新規格(新スプリアス)へ切り替えましょう。
新規格の特定小電力トランシーバーであれば、デジタルとアナログどちらの方式でも使用が可能です。
そもそも特定小電力トランシーバーとは?
「特定小電力トランシーバー」とは、送信出力は0.01W以下の無線のことです。免許取得や登録申請を行う必要がないため、他の無線と違い、購入後すぐに使用できます。
一方、特定小電力トランシーバーは送信出力が小さい分、通信距離は見通しが良い場所で1~2km程度、市街地で100~200m程度と非常に狭いです。そのため、導入する際は通信距離が足りるかどうか、しっかりと確認しておく必要があります。
総務省が設けている定義
総務省が設けている特定小電力トランシーバーの定義は以下のとおりです。
3 小電力の特定の用途に使用する無線局
コードレス電話、小電力セキュリティシステム、小電力データ通信システム、デジタルコードレス電話、PHSの陸上移動局、狭域通信システム(DSRC)の陸上移動局、ワイヤレスカードシステム、特定小電力無線局等の特定の用途及び目的の無線局であり、次の条件をすべて満たすもの。
- 空中線電力が1W以下であること。
- 総務省令で定める電波の型式、周波数を使用すること。
- 呼出符号または呼出信号を自動的に送信しまたは受信する機能や混信防止機能を持ち、他の無線局の運用に妨害を与えないものであること。
- 技術基準適合証明を受けた無線設備だけを使用するものであること。
特定小電力トランシーバーの3つのメリット
特定小電力トランシーバーのメリットとして次の4つが挙げられます。
- 購入後すぐに利用できる
- コストを抑えられる
- バッテリー稼働時間が長い
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.購入後すぐに利用できる
前述のとおり、特定小電力トランシーバーは送信出力が0.01W以下と小さいため、周囲の電波に干渉するリスクが少ないです。
出力が小さく、影響度が低い分、免許・登録が不要であるため、購入後すぐに使用できます。
2.コストを抑えられる
簡易無線は免許取得時の手数料や電波利用料、IP無線は月額料金というように、無線を運用するにあたってはランニングコストがかかります。
しかし、特定小電力トランシーバーはこれらのコストは一切かからないため、コストを抑えて運用することが可能です。
3.バッテリー稼働時間が長い
特定小電力トランシーバーは送信出力が小さいため、バッテリー消費が少なく、稼働時間が長いです。中には単3乾電池1本でも24時間以上運用できるものもあります。
ただし、いくらバッテリー消耗が少ないといっても、特定小電力トランシーバーの機種によって稼働時間は異なります。したがって、購入する際は機種ごとの稼働時間をしっかりと確認しておくことが大切です。
おすすめの特定小電力トランシーバー3選
おすすめの特定小電力トランシーバーとして次の3つを紹介します。
- SRFD10
- SRS210A
- IC-4400
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.SRFD10
「SRFD10」は八重洲無線が提供している特定小電力トランシーバーです。「SRFD10」の特長は以下のとおりです。
- 超小型かつ50gの超軽量
- ワンクリックによるハンズフリー運用が可能
- 防塵・防水機能は最高クラスのIP68
商品:SRFD10 八重洲無線
2.SRS210A
「SRS210A」は八重洲無線が提供している特定小電力トランシーバーです。「SRS210A」の特長は以下のとおりです。
- 単3乾電池1本で約33時間の運用が可能
- 防塵・防水機能は最高クラスのIP68
- 大型ディスプレイ採用で見やすい
3.IC-4400
「IC-4400」は八重洲無線が提供している特定小電力トランシーバーです。「IC-4400」の特長は以下のとおりです。
- 単3乾電池1本で約24時間の運用が可能
- 90gの軽量ボディかつポケットに収納できるコンパクトな設計
- LAN/LTE接続対応の中継器・IC-RP4150Wに対応
商品:IC-4400 アイコム
まとめ
特定小電力トランシーバーに使用されている周波数はどのメーカーでも同じであり、すべての機種に互換性があります。しかし、メーカーによってチャンネルごとに振り分けている周波数が異なるため、同じチャンネルに合わせても通信できないという事態になりかねません。
違うメーカー同士の機種と通話する場合は、チャンネルの互換表を参考にしながら、チャンネルを合わせることが大切です。