おすすめのデジタル簡易無線6選!アナログ式との違いについても徹底解説
「デジタル簡易無線」とは、デジタル通信方式を採用している簡易無線です。デジタル変換によって音声を数字に変換し通信を行うため、秘話性が高く、比較的安全に運用できます。
今回は、おすすめのデジタル簡易無線やアナログ式との違いについて解説します。
おすすめのデジタル簡易無線6選
おすすめのデジタル簡易無線として次の6機種を紹介します。
- SR730(登録局)
- TPZ-D563(登録局)
- MiT3000(登録局)
- SR820U(免許局)
- MiT5000(免許局)
- TCP-D261(免許局)
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.SR730(登録局)
「SR730」は八重洲無線が提供している登録局のデジタル簡易無線です。「SR730」の特長は以下のとおりです。
- 1度の充電で約16時間以上の運用が可能
- 防塵・防水機能は最高クラスのIP68で雨天時や粉塵が多い場所でも安心
- デジタル用周波数30チャンネルに対応
- 衝撃吸収ベッディング構造を採用し衝撃性能も高い
商品:SR730 八重洲無線
2.TPZ-D563(登録局)
「TPZ-D563」はケンウッドが提供している登録局のデジタル簡易無線です。「TPZ-D563」の特長は以下のとおりです。
- 薄型設計によるコンパクトデザインで持ち運びしやすい
- アメリカ国防総省軍用規格「MIL-STD」の11項目に適合した堅牢性の高いボディ
- ドットマトリックスを採用した閲覧しやすい液晶表示
3.MiT3000(登録局)
「MiT3000」はモトローラが提供している登録局のデジタル簡易無線です。「MiT3000」の特長は以下のとおりです。
- 約16時間運用可能なロングライフバッテリー
- 512通りのユーザーコード(UC)で様々なグループ通信が行える
- 人間工学とユーザビリティに基づいた薄型・小型設計で操作しやすい
4.SR820U(免許局)
「SR820U」は八重洲無線が提供している免許局のデジタル簡易無線です。「SR820U」の特長は以下のとおりです。
- Bluetooth対応
- デジタル用周波数65チャンネルを搭載
- 防塵・防水機能は最高クラスのIP68で雨天時や粉塵が多い場所でも安心
商品:SR820U 八重洲無線
5.MiT5000(免許局)
「MiT5000」はモトローラが提供している免許局のデジタル簡易無線です。「MiT5000」の特長は以下のとおりです。
- 米国軍用規格「MIL-STD-810G」に準拠している堅牢性の高いボディ
- モトローラ独自の信頼性テスト(ALT)に合格
- グローブ着用時でも操作しやすいPTTボタン・電源スイッチ・ロータリースイッチを採用
6.TCP-D261(免許局)
「TCP-D261」はケンウッドが提供している免許局のデジタル簡易無線です。「TCP-D261」の特長は以下のとおりです。
- 抗菌・抗ウイルス加工が施されている
- アメリカ国防総省軍用規格「MIL-STD」の11項目に適合した堅牢性の高いボディ
- 薄型設計で持ち運びしやすい
デジタル簡易無線とは?
「デジタル簡易無線」とは、デジタル通信方式を採用している簡易無線のことです。2008年に制度化され、従来の免許制度の他に、登録制度が導入されました。
デジタル通信方式は、通信する際にはデジタル処理によって、音声を0と1の数字に変換し、音声情報として相手に伝えます。そのため、秘話性が高くセキュリティリスクを抑える他、アナログ簡易無線よりも音質が良いといった特長があります。
アナログ簡易無線との違い
「アナログ簡易無線」とは、アナログ通信方式を採用している簡易無線のことです。デジタル簡易無線とアナログ簡易無線では、様々な違いがありますが、最も大きな違いは「電波の飛ばし方」です。
前述のとおり、デジタル簡易無線はデジタル処理によって音声を0と1に変換した後、音声情報が相手に届けられます。一方、アナログ簡易無線は音声をそのまま電波に乗せて、相手に届けます。
アナログ簡易無線はデジタル変換を行わない分、バッテリー消耗が少なく、タイムラグを起こさずに情報を伝達することが可能です。
一方、混信を起こしやすいため、雑音を拾ってしまいノイズが発生しやすいです。また、デジタル処理が施されていないことから秘話性が低く、セキュリティが低いといったデメリットもあります。
また、アナログ簡易無線が使用できるのは、2024年11月30日までです。2024年12月1日以降に使用した場合、罰せられる可能性があるため、注意しましょう。
規制の対象外について
上記にて「アナログ簡易無線が使用できるのは、2024年11月30日まで」とご説明いたしましたが、例外が存在します。
電波法対象となる帯域は350MHz帯および400MHz帯になります。
154.44375~154.61254MHz帯域はこの規則の対象外となるため、150MHz帯を使用する無線は引き続きアナログでの使用が可能です。
八重洲無線が提供している「スタンダードホライゾン SR820V」などが該当いたします。
商品:SR820V 八重洲無線
携帯電話との違い
携帯電話と簡易無線の大きな違いは以下のとおりです。
- 通信方式
- 通信距離
- 使用コスト
携帯電話は各地に基地局・中継器を全国に設置し、基地局・中継器が発せられる携帯会社の電波さえキャッチできれば、どれだけ距離が離れていても通信を行うことが可能です。一方、簡易無線は機器同士が直接電波を送受信して通信を行います。
通信距離に制限はあるものの、相手が電波の届く範囲内にいれば、通話が行えます。そのため、携帯の電波が届きにくい山間部や、回線がパンクして通信がしにくい災害時にも安定した通信が行える機器といえるでしょう。
携帯電話の場合、毎月使用料を払わなければならないため、ランニングコストが高くなりがちです。一方、簡易無線の場合は、無線機本体と各種手続きの手数料、年間の電波利用料のみのため、ランニングコストがそこまでかからないといった特長もあります。
アナログ式周波数の停波とは?
携帯電話やテレビ・ラジオ、消防救急・鉄道無線など、様々な用途で使用される電波ですが、電波は希少な有限資源です。電波の利用ニーズは今後も高まることが予想されることあら、有限資源である電波を有効に利用していく必要があります。
このような背景から、2024年11月30日をもって、以下のアナログ簡易無線は停波され、使用できなくなります。
- 350MHz帯(348.5625MHz~348.8MHzの「小エリア簡易無線局」)
- 400MHz 帯( 465.0375 ~ 465.15MHz 、468.55MHz ~ 468.85MHz)
なお、2021年9月1日段階でアナログ簡易無線は再免許するものに限定されており、新設は原則認められていません。
アナログ簡易無線を所持している場合の対応
アナログ簡易無線の使用は前述のとおり、2024年11月30日までです。
したがって、使用期限までに無線を廃止するか、使用期限以降も簡易無線を使用し続ける場合は、デジタル簡易無線に変更しなければなりません。
デュアル式の簡易無線を所持している場合の対応
「デュアル式の簡易無線」とは、アナログとデジタルどちらの方式の周波数も使用できる無線です。デュアル式の簡易無線であっても、アナログ方式の使用期限は、2024年11月30日までとなります。
そのため、デュアル式の簡易無線の場合は、アナログ式の周波数を発射しないように、2024年11月30日までにメーカーなどで無線の改修を行わなければなりません。
デジタル簡易無線の種類・概要一覧
デジタル簡易無線は「登録局」と「免許局の」の2種類があります。総務省が公表している「デジタル簡易無線の概要一覧」は以下のとおりです。
登録局 | 登録局 | 免許局 | 免許局 | |
周波数 | 351.2~351.38125MHz | 351.16875~351.19375MHz | 154.44375~154.61254MHz | 467~467.4MHz |
チャンネル数 | 30ch | 5ch | 19ch+9ch(音声除く) | 65ch |
使用可能区域 | 全国の陸上及び日本周辺海域 | 全国の陸上及び日本周辺海域ならびにそれらの上空 | 全国の陸上 | 全国の陸上及び日本周辺海域 |
最大電力 | 5W | 1W | 5W | 5W |
キャリアセンス | 要 | 要 | 不要 | 不要 |
レンタル使用可否 | 可 | 可 | 不可 | 不可 |
レジャー使用可否 | 可 | 可 | 不可 | 不可 |
不特定者との通信可否 | 可 | 可 | 不可(免許人所属に限る) | 不可(免許人所属に限る) |
免許局
「免許局」とは、法人や団体が業務目的で使用する無線のことです。2008年に「登録局」が導入される以前の簡易無線は、業務利用目的に限定された免許局のみでした。
免許局最大の特長は、業務目的での使用に限定されている分、チャンネル数が登録局よりも多く、周波数帯が区別されている点です。そのため、混線しにくく、電波が混みあっている場所でも、無線をスムーズに運用できます。
一方、利用目的が業務使用のみと限定されているため、当然レジャー使用はできません。免許を取得している企業に所属している方との通信も行ってはいけない他、レンタル無線としての貸し出しも禁止されています。
後述する登録局と比べると、制約が多い簡易無線です。
登録局
「登録局」とは、2008年にデジタル簡易無線が制度化された際に導入された簡易無線です。無線機器の技術的条件や運用条件をあらかじめ課すことで、事前の審査を大幅に簡略化し、形式的な要件審査で無線の開設を認可しています。
登録局は業務目的だけでなく、レジャー使用や不特定者との通信が可能です。また、登録済みであればレンタル無線として貸し出すこともできます。そのため、免許局と比べると利用しやすく、使用できる幅も広いといえるでしょう。
デジタル簡易無線を選ぶ際のポイント
デジタル簡易無線を選ぶ際のポイントとして次の4つが挙げられます。
- 防塵・防水機能
- 給電方式
- 技適マーク
- 互換性の有無
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.防塵・防水機能
雨の心配がある屋外や粉塵が多い場所で、防塵・防水機能がない無線を使用した場合、故障するリスクがあります。そのため、これらの場所で使用する可能性がある場合は、防塵・防水機能が高い機種を選ぶことが大切です。
防塵・防水機能は「IP〇〇」のように表示され、左側が防塵性能、右側が防水性能を意味します。防塵等級は0~6、防水等級は0~8で示され、数字が大きい程、性能が高くなります。
2.給電方式
給電方式もデジタル簡易無線を選ぶ際には、欠かせないポイントです。給電方式は次の2種類があります。
- 電池式
- 充電式
数日間連続で運用する際や、災害時の通信手段として活用する際は、電池式がおすすめです。電池があればすぐに使用できるため、充電できない場合でも安心して使用できます。
一方、業務利用などで毎日使用する場合、電池式だと電池を購入しなければならないため、運用コストが高くなります。そのため、使用頻度が高い場合は、充電式がおすすめです。
ただし、同じ給電方式でも機種によって、稼働時間は異なります。そのため、選ぶ際は稼働時間を確認するとともに、運用時間に合わせて予備の電池やバッテリーを準備しておくことが大切です。
3.技適マーク
国内使用に対応している無線は、技適マークがついています。「技適マーク」とは、総務省の「技術基準適合証明」に認可された無線に付与されているマークです。
技適マークがついていない無線を使用するとスマホやパソコンなどに悪影響を及ぼすリスクがある他、技適マークがない無線を使用すると電波法違反となり、処罰の対象となります。安価で販売されている無線の中には、技適マークが付与されていない機種もあるため、注意が必要です。
4.互換性の有無
デジタル簡易無線の買い足しおよび、将来買い足しを検討している場合、チャンネルの互換性にも目を向ける必要があります。無線は機種ごとにチャンネルが割り振られているため、互換性がない機種だと通話ができません。
機種やメーカーによって互換性の有無は異なるため、購入時に確認しておく必要があります。
デジタル簡易無線が活用される主なシーン
デジタル簡易無線が活用される主なシーンは以下のとおりです。
- 警備
- 大型倉庫・工事現場
- イベント
- サバゲーやキャンプといったレジャー
送信出力が0.01W以下の特定小電力トランシーバーの通信距離は、見通しが良い場所で1km~2km程度、市街地では100m~200m程度しかありません。一方、デジタル簡易無線の送信出力は特定小電力トランシーバーの50倍の5Wです。
見通しの良い場所では5km~10m程度、市街地でも500m~1km程度と、特定小電力トランシーバーよりも通信距離が長いです。そのため、特定小電力トランシーバーではカバーできない上記のシーンにて、デジタル簡易無線が活用されます。
まとめ
アナログ簡易無線の停波に伴い、デジタル簡易無線への置き換えが進められています。デジタル簡易無線には様々な機種があるため、切り替え時は「防塵・防水機能」や「給電方式」などのポイントを押さえておくことが大切です。
当記事で紹介したおすすめのデジタル簡易無線も参考にしながら、使用用途に適した機種を選ぶようにしましょう。