DX推進がなぜ業務効率化につながるのか?理由やメリットについて詳しく解説
レガシーシステムの脱却や業務プロセスの効率化などを目的に行われるDX推進ですが、DX化が成功すれば、必然的に業務効率化にもつなげられます。ただ、DX推進がなぜ業務効率化につながるのか分からないという方も多いでしょう。
今回はDX推進が業務効率化につながる理由やメリット、注意点、DX推進するステップ、DX推進に活用される代表的な技術について解説します。
DX推進が業務効率化につながる5つの理由
DX推進が業務効率化につながる理由として次の5つが挙げられます。
- データの管理が容易となる
- 業務プロセスや企業構造の見直しにつなげられる
- 最新システムによる業務スピードの向上
- データ分析を手早く正確に行える
- 情報伝達ツールによる情報共有コストの削減
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.データの管理が容易となる
従来は部門ごとに特定のデータを管理している状態だったため、部署間でのデータ共有が上手くいっていませんでした。そのため、本来活用できるデータを活用できず、機会損失につながっていた可能性も少なくありません。
しかし、DXはデータを一元管理できる基盤の構築を行います。データを一元管理できるようになれば、社内全体で同じデータを共有・閲覧することが容易となり、業務効率化を図れます。
また、手作業でのデータ入力が不要となるため、作業時の入力ミスを防止することにもつなげられるでしょう。
2.業務プロセスや企業構造の見直しにつなげられる
DXを推進した場合、デジタル技術の導入によって企業が抱えている課題点を解消し、業務プロセスや企業構造の見直しにつなげられます。ただし、DXを成功に導くためには、決定権を持っている経営陣のコミットメントが必要不可欠です。
したがって、企業・経営戦略としてDXを推進する目的を明確にしなければなりません。
また、DX推進は社内全体で取り組んでいく必要があるため、目的を共有し、従業員の協力を得ていく必要があります。
3.最新システムによる業務スピードの向上
DXを推進すれば、レガシーシステムから最新システムへ切り替えられるため、最新技術によって業務スピードの向上につなげられます。「レガシーシステム」とは、昔の技術を使用して開発されているものが多いです。
そのため、現在の技術と比較して機能が劣るリスクが高い他、同じ処理をしても最新技術であればすぐに実行できる可能性があります。また、手作業で行っていた作業を自動化できるため、業務スピードを向上させて、業務効率を高めることも可能です。
4.データ分析を手早く正確に行える
スマホが普及したことにより、ユーザーは素早く多くの情報を取得できるようになりました。その結果、企業はユーザーから選ばれる時代となっているため、企業はユーザーニーズを正しく理解した商品・サービスを提供しなければなりません。
ユーザーニーズを把握するためには、ユーザーの行動データを正しく分析する必要があります。データ基盤を構築できれば、データ分析を手早く正確に行えるため、業務を効率化しながら、ユーザーニーズに適した商品・サービスの開発が行えるでしょう。
5.情報伝達ツールによる情報共有コストの削減
情報伝達ツールを導入すれば、情報共有コストの削減が可能です。従来の情報伝達方法の場合、複数人に対して繰り返し連絡したり、情報共有する度にメールの文面を考えたりするのは、非常に非効率ですし、伝達漏れをするリスクがあります。
情報伝達ツールを導入すれば、伝えたい情報を複数人に一括送信できるため、伝達漏れの防止が可能です。相手が確認したか確認できるツールであれば、情報の見落とし有無を送信側から確認することもできます。
DXで業務効率化する4つのメリット
DXで業務効率化するメリットとして次の4つが挙げられます。
- 残業時間の削減および長時間労働の是正
- テレワークの導入環境を整備できる
- 人手不足を解消できる
- ヒューマンエラーの削減や作業スピードの向上
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.残業時間の削減および長時間労働の是正
データ処理スピードの向上およびルーティン作業の自動化が可能となるため、作業時間を短縮できます。作業時間を短縮できれば、残業時間の削減や長時間労働の是正が可能です。
また、余った時間を人間しか行えない創造的な業務や複雑な業務に充てられるため、新しいビジネスを生む可能性を広げられます。
2.テレワークの導入環境を整備できる
デジタル化・システム化によって、データの一元管理が可能となれば、データ共有が容易となるため、出社しなくても業務への参加が可能です。
つまり、DXを推進すれば、テレワークの導入環境を整備できるため、働き方改革の実現にもつなげられます。
3.人手不足を解消できる
残業時間の削減や長時間労働を是正して、従業員のライフワークバランスを整えられれば、従業員満足度を向上させるため、離職率の低下につなげられます。
また、テレワークによって、遠隔地からの業務が可能となれば、エリアを限定することなく、人材を採用できるため、人手不足を解消させることも可能です。
4.ヒューマンエラーの削減や作業スピードの向上
作業のデジタル化によって、データの取り込みが自動化されれば、手作業で入力する必要がなくなるため、入力ミスによるヒューマンエラーを削減できます。
また、入力の手間もなくなるため、作業スピードを上げることができ、生産性の向上にもつなげられます。
DXで業務効率化を進める際の3つの注意点
DXで業務効率化を進める際の注意点は次の3つです。
- コストがかかる
- レガシーシステムのブラックボックス化
- DX人材がいない
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.コストがかかる
DXを推進する場合、レガシーシステムの脱却や既存業務のデジタル化を進めるために、システムを開発したり、ツールを導入したりしなければなりません。システム開発を外注する場合は開発費用、ツール導入であればライセンス費用が必要となりますし、導入に際しての人的リソースを確保しておく必要があります。
このように、DXは多大なコストがかかることを念頭に置かなければなりません。
2.レガシーシステムのブラックボックス化
使用されているレガシーシステムが古いほど、独自ロジックが混入して複雑化していたり、システム仕様が分かる担当者が退職したりして、システムがブラックボックス化している場合があります。
レガシーシステムがブラックボックス化して仕様を把握できないと、システムを再構築できず、DX推進の妨げになるリスクもあるため、注意が必要です。
3.DX人材がいない
DXを推進する際、最新のデジタルツールをはじめ、ITの知見を有したDX人材が必要不可欠です。しかし、多くの企業がDXに取り組んでいる現在、DX人材が不足しています。
総務省が公表した「令和3年版 情報通信白書」のDXにおける課題によれば、費用対効果が不明の約32%、資金不足の約26%に対して、人材不足は約53%とダントツです。
また、人材不足が約53%と、経済産業省の委託事業としてみずほ情報総研株式会社が取りまとめた「IT人材需給に関する調査」によれば、2030年には最大で約79万人、最低でも約16万人のIT人材が不足するとされています。
IT人材の不足によって、DXに特化した人材も不足しています。DXを上手く推進させていくためには、DX人材不足も解決しなければなりません。
DXを推進する5つのステップ
DXを推進するためには次の5ステップを踏むことが大切です。
- 目的の明確化とビジョン作成
- DX推進の体制整備
- IT資産の分析・評価
- DXを少しずつ推進
- ビジネスの高度化・拡張
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.目的の明確化とビジョン作成
DXは業務プロセスやビジネスモデルの変革、新しいビジネスモデルの創出などを目的に取り組まれるものです。しかし、DXを推進していると、DX化自体が目的となってしまい、本来の目的を見失ってしまいます。
そのため、DXを成功させるためには、DXで達成したい目的を明確にすることが大切です。
DXの目的を明確化したら、企業が目指すべきビジョンを作成します。ビジョンを作成する際は「新しいサービスを創出する」「サービス実現に向けて必要なものは何か」など、具体的に考えるようにしましょう。
2.DX推進の体制整備
ビジョンを作成したら、DX推進の体制を整備していきます。DXをスムーズに進めていくためには、DX人材を中心に現状把握したり、システム基盤を構築したりするチーム作りが欠かせません。
DX人材が社内にいない場合は、外部から人材を雇ったり、社内で育成したりする必要があります。ただし、社内でDX人材を育成する場合、育成するまでに時間がかかることを考慮しなければなりません。
3.IT資産の分析・評価
DXを成功させるためには、IT資産の取り扱いが重要です。そのため、ブラックボックス化しているか、システムが複雑化していないかなど、企業内のシステムを分析・評価して、現時点での課題を洗い出す必要があります。
課題を洗い出すことによって、DX化に伴って、置き換えるべきシステム要件を把握できます。
4.DXを少しずつ推進
分析・評価が終了したら、結果に基づき、DXを推進していきましょう。ただし、いきなり社内全体でDXに取り組んでしまうと、業務効率が悪くなったり、システムエラーが起きたりしてしまい、失敗するリスクを高めてしまいます。
DXを推進する際は、実施する範囲を決めて、少しずつ取り組んでいくことが大切です。
5.ビジネスの高度化・拡張
システム導入が完了したら、システムを活用してビジネスを高度化・拡張化を図っていきます。ただし、1度導入したら終了というわけではありません。
競合他社に負けないようにするためには、PDCAサイクルを回しながら、継続的に業務改善していくことが重要です。
DX推進に活用されている代表的な技術
DX推進に活用されている代表的な技術として次の4つが挙げられます。
- クラウド
- RPA
- 電子契約
- AI
それぞれ詳しくみていきましょう。
クラウド
クラウドサービスは、インターネット上で利用できるサービス技術です。特殊なソフトウェアやハードウェアを導入しなくても利用できるため、製造業でも活用されています。
導入やメンテナンスといった費用を抑えられる他、取扱いや管理が簡単なため、現場の作業員も負担もなく使用できる利点があります。
RPA
RPA(Robotic Process Automation)とは、ソフトウェア型のロボットを活用して、パソコンで行う定型業務を自動化するツールです。データ入力や請求書・発注書作成、転移作業など、単純作業や反復作業を自動化できます。
人が行うよりも正確かつ素早く処理できるため、業務効率化や業務負担の軽減、ヒューマンエラーリスクの低減が可能です。
電子契約
電子契約とは、従来は紙でやり取りしていた契約・業務を、ペーパーレス化できるツールです。請求書・発注書は郵送やファックスでのやり取りが一般的でした。
電子契約によってデジタル化すれば、書類の印刷や捺印、郵送といった手間を省けるため、業務の効率化が可能です。また、システムで一元管理できるため、社内全体で共有しやすいといったメリットもあります。
AI
AI(Artificial Intelligence)とは、人間のような知的能力を持った最新技術のことです。データを素早く処理して、分析や判断、推論などが行えます。
DXによってデジタル化すれば、これまで以上に膨大なデータを収集することが可能です。これらのデータを分析に活用すれば、ユーザーニーズを適切に把握できる他、画像解析や業務の自動化などに役立てられます。
現場での業務効率化には無線がおすすめ!
従業員同士のコミュニケーションロスが円滑な業務遂行の妨げとなっている場合は、無線の導入を検討するとよいでしょう。携帯電話やスマホの場合、連絡を取るためには、一人ひとりに電話をかける必要があります。
LINEなどのチャットツールであれば、グループトークで一斉送信できますが、わざわざ文字を入力する手間がかかるため、迅速に連絡を取ることができません。
一方、無線であれば、携帯電話やスマホと違い、複数人に対して一斉に音声通信できるため、素早く業務連絡を伝えることが可能です。
まとめ
企業風土や業務プロセスの変革を目的に行われるDXですが、DXを推進すると最新デジタル技術の導入が行われます。最新デジタル技術を導入すれば、「データ管理が容易となる」「業務プロセスや企業構造の見直しにつなげられる」ため、結果として業務効率化が可能です。
現場のコミュニケーションロスを改善し、業務効率化を図りたいのであれば、複数人に対して一斉に音声通信できる「無線」がおすすめです。ただし、無線は種類によって通信距離や通信場所が異なるため、通信距離や通信場所などを考慮し、自社に適した無線を選ぶようにしましょう。