免許不要の無線とは?免許が必要な場合と免許不要となる条件を解説
無線には免許不要で使用できる無線と、免許がないと使用できない無線があります。免許を取得せず、使用してしまうと、電波法違反となり、法的罰則の対象となります。
そのため、無線を使用する際は免許の必要有無について理解しておかなければなりません。
今回は免許不要で使用できる無線の条件と種類、免許が必要な理由、免許不要で使用できるおすすめの無線を紹介します。
無線の使用には免許が必要?
無線を使用する際は免許の必要有無を確認し、免許が必要な無線を使用する場合、総務省が管轄する総合通信局へ申請を行い、免許を取得しなければなりません。
また、免許を1度取得すればずっと使用できるというわけではなく、5年ごとに免許申請を行う必要があります。免許の不所持もしくは再申請せずに免許が失効した状態で無線を使用すると、電波法違反となり法的罰則の対象となってしまうため、注意が必要です。
無線の使用で免許が必要になる理由
無線の使用で免許が必要な理由は「電波が有限希少な資源で無限に使用できるものではない」からです。
そのため、電波の使用を制限せずに各々が好き勝手に無線を使用してしまうと、電波が枯渇したり、様々な電子機器が発している電波に干渉したりしてしまいます。
このような事態を回避するために総務省の総合通信局が日本国内の電波を管理するために免許制度が設けられたというわけです。
また、2024年12月1日に350MHz及び400MHzのアナログ無線が使用できなくなります。これは有限かつ希少な資源である電波を効率的に活用可能なデジタル無線へ移行することが目的です。
無線の免許申請方法
無線の免許申請方法は以下の2つです。
- 電子申請
- 書面申請
また、平成16年3月29日からは電子申請が可能となりました。電子申請であれば、インターネット環境と端末さえあれば、いつでもどこでも申請可能です。
ただし、アマチュア無線と業務業無線で申請に使用するシステムが異なる他、はじめて使用する場合は事前準備が必要なため、注意しましょう。
書面申請は申請書を作成し、自身の居住地区を管轄している総合通信局に送付するだけです。ただし、免許申請書類の作成は初心者には非常に難しい内容となっています。
詳しい免許申請方法については総務省が公開している電波利用ホームページを確認してください。
免許が必要な2つの無線
免許が必要な無線として次の2つが挙げられます。
- アマチュア無線
- 業務用無線
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.アマチュア無線
アマチュア無線とは、アマチュア無線技士という資格を取得後、無線局免許状申請を行うことで使用できる無線です。研究目的や個人的な趣味での使用を目的としています。
アマチュア無線技士は1~4級まであり、級ごとに無線の使用範囲が異なるのが特徴です。
2.業務用無線
免許が必要な業務用無線には「一般業務用無線」と「簡易無線免許局」の2種類があります。
それぞれ詳しくみていきましょう。
一般業務用無線
一般業務用無線とは、警察や消防、タクシー、バスなど、公共性の高い業種のみが使用できる自営陸上移動通信用無線です。業務用無線を会社で使用する場合、無線従事者免許所持者を配置する必要があります。
しかし、タクシーの場合は指令局にいる人が無線従事者免許を所持していれば、ドライバーは無線従事者免許を取得する必要がありません。
簡易無線免許局
簡易無線とは、業務用の無線通信・連絡を行う無線です。簡易無線免許局にはデジタル方式とアナログ方式の2種類があります。
デジタル方式を使用した無線はデジタル簡易無線といい、アナログ方式と比較して秘話性が高く、高音質といった特長があり、効果的に周波数帯を使用することが可能です。
ただし、アナログ方式は2024年12月1日をもって廃止され、使用できなくなります。詳細については総務省の電波利用ホームページの「簡易無線局のデジタル化について」を確認してください。
免許・登録が不要な無線の条件
免許・登録申請をしなくても使用できる無線も存在します。免許・登録が不要な無線の条件として次の3つが挙げられます。
- 電波が微弱である
- 小電力の特定の用途に使用する無線
- 市民ラジオの無線局
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.電波が微弱である
発射する電波が非常に微弱な無線で、総務省令で定められているものであれば、免許は不要です。
ワイヤレスマイクや模型類の無線遠隔操縦をするラジコン用発振器などがこれにあたります。
参考:総務省電波利用ホームページ-免許及び登録を要しない無線局
2.小電力の特定の用途に使用する無線
コードレス電話や小電力セキュリティシステム、デジタルコードレス電話など、特定の目的・用途の無線かつ下記条件を満たす場合、免許不要で使用可能です。
- 空中線電力が1W以下であること。
- 総務省令で定める電波の型式、周波数を使用すること。
- 呼出符号または呼出信号を自動的に送信しまたは受信する機能や混信防止機能を持ち、他の無線局の運用に妨害を与えないものであること。
- 技術基準適合証明を受けた無線設備だけを使用するものであること。
引用:総務省電波利用ホームページ-免許及び登録を要しない無線局
3.市民ラジオの無線局
市民ラジオの無線局も下記3つの条件に該当する場合、免許不要で無線を使用できます。
- 26.9MHzから27.2MHzまでの周波数帯の電波の中で、総務省令が定めている電波型式もしくは周波数の電波を使用
- 空中線電力0.5W以下
- 技術基準適合証明を取得している無線設備のみを使用する無縁局
参考:総務省電波利用ホームページ-免許及び登録を要しない無線局
免許不要で使用できる3つの無線
免許不要で使用できる無線として次の3つが挙げられます。
- 特定小電力トランシーバー
- IP無線
- デジタル小電力コミュニティ無線
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.特定小電力トランシーバー
出力が弱い特定小電力トランシーバーは免許不要で使用できる無線の1つです。購入やレンタル費用も安く、操作方法もシンプルなため、初心者でも簡単に使用できます。
ただ、出力が弱い分、通信距離は狭く、遮蔽物や障害物というように電波を遮るものがあると、上手く通信できません。そのため、飲食店や小売店などで使用されることが一般的です。
2.IP無線
IP無線は携帯キャリアの通信網を使用して通信を行う無線です。携帯電話と同じく携帯通信事業者が包括免許を取得しており、無線利用者が個別に免許申請する必要がないため、免許不要で使用できます。
携帯回線を使用するため、通信範囲は全国かつ携帯電波が届く範囲であれば通信が可能です。ただし、山岳部など携帯電話がつながらないエリアは使用できない、中継器を介して通信するため、通信にタイムラグが生じるといったデメリットもあります。
3.デジタル小電力コミュニティ無線
デジタル小電力コミュニティ無線は150MHz帯を使用して通信を行うデジタル無線です。山岳地帯で野生動物を監視する人々の専用周波数だった150MHz帯が、2018年の法改正で市街地でも使用可能となったことで新たに開発されました。
通信相手を限定した連絡やコミュニティの連絡事項などの使用が想定されています。また、山岳地帯での野生動物監視が主目的だった名残からGPS機能が標準搭載されているため、GPS機能を活用して高齢者の徘徊や、子どもの誘拐対策も可能です。
免許不要で使用できるおすすめの無線8選
免許不要で使用できるおすすめの無線は以下の8つです。
- SRS210A
- SRFD1
- SR70A
- CL168
- UBZ-M51LE
- IC-4110D
- DJ-P222
- DJ-R200D
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.SRS210A
「SRS210A」は八重洲無線の特定小電力トランシーバーです。SRS210Aの特長として以下が挙げられます。
- 胸ポケット収まるサイズのため、コンパクトで快適な操作が可能
- IP68を採用しており、ワンランク上の防塵・防水性を実現
中継器にも対応しているため、通信距離の拡大や通信の安定化も図ることも可能です。
2.SRFD1
「SRFD1」も八重洲無線の特定小電力トランシーバーです。SRFD1の特長として以下が挙げられます。
- 液晶表示部は全体をシリコンカバーで覆うことで耐衝撃性を追求
- 付属のリチウムイオンバッテリーの使用で約16時間の使用が可能
- Bluetooth対応でワイヤレス通信が行える
- ファミックスシステムを搭載で専用親機がなくても同時通話が可能
SRS210Aと同じく防塵・防水性にはIP68を採用している他、オプション機器を使用すれば、ヘッドセットを工事ヘルメットに取り付け可能です。
商品:SRFD1 八重洲無線
3.SR70A
八重洲無線の中でも人気の高い特定小電力トランシーバーが「SR70A」です。SR70Aの特長として以下が挙げられます。
- 大型ディスプレイとLEDインジケーター搭載で視認性に優れている
- グリップ感やフィット感を高めて操作性と使いやすさを追及
- 連結式充電器SBH-26の使用で10台の同時充電が可能
防塵・防浸使用のため、屋外業務でも問題なく使用できます。
商品:SR70A 八重洲無線
4.CL168
「CL168」はMOTOROLAの特定小電力トランシーバーです。CL168の特長として以下が挙げられます。
- スーパーバッテリーセーブ機能の活用で最大約60時間の運用が可能
- アラームや緊急用コールなど多様な緊急機能の搭載
- 最大400mWの音声出力で雑音が多くても聞き取りやすい音声を実現
CL168には通常アンテナの「CL168」と、広範囲での通信が可能なロングアンテナの「CL168L」の2種類があります。
5.UBZ-M51LE
「UBZ-M51LE」はKENWOODの特定小電力トランシーバーで、店舗での接客に特化した機能を多数搭載しています。UBZ-M51LEの特長は以下のとおりです。
- フロア別に指示が出せるセカンドPTT機能を搭載
- 簡易スキャン機能で持ち場の状況を把握できる
- 送信お知らせ機能で誰からの送信か音で分かる
上記以外にも覗き見を防止するチャンネル非表示機能も搭載されており、スマートかつ安全な接客が行えます。
6.IC-4110D
「IC-4110D」はICOMの特定小電力トランシーバーです。IC-4110Dの特長は以下のとおりです。
- 単3形アルカリ電池3本で約80時間運用可能
- 従来機・IC-4100のオプション類をほぼ引き継ぎ可能
- 回転式アンテナの採用でコンパクトに使用できる
ダークグリーンを含めた4つのカラーラインナップがあります。軽量かつコンパクトで、シンプルなモデル設計のため、無線初心者にもおすすめです。
7.DJ-P222
「DJ-P222」はALINCOの特定小電力トランシーバーです。従来機・DJ-P221に新機能を追加した進化モデルとなっています。
DJ-P222の特長は以下のとおりです。
- ヘッドセットやマルチ・チャージャーなどのオプション品が充実
- ねじ込み式プラグキャップ付属で水の侵入を防止
- 携帯性重視のMタイプ・通話距離重視のLタイプの2種類を用意
8.DJ-R200D
「DJ-R200D」もALINCOの特定小電力トランシーバーです。DJ-R200Dの特長として以下が挙げられます。
- 同時通話対応しており、携帯電話感覚での通話が可能
- 外部電源端子から直接充電可能なため、充電スタンドが不要
- 着信ベルや減電池警告など多彩な機能を実装
同時通話だけでなく、中継器にも対応しているため、通話の幅を広げられるモデルです。
まとめ
無線には「特定小電力トランシーバー」や「IP無線」などのように免許不要で使用できるものと、「アマチュア無線」「一般業務用無線」のように免許が必要なものがあります。免許が必要な無線の場合、導入・運用コストがかかる他、免許申請などの手続きを行わなければならないため、すぐに使用することができません。
コストを押さえて、すぐに使用したいという場合は、免許不要の無線を選ぶとよいでしょう。ただし、免許不要の無線の場合、通信距離が短く、安定した通信が行えないという可能性もあるため、必要な通信距離も加味して選ぶことが大切です。