【距離別】モトローラ MOTOROLA のおすすめトランシーバー
現在、様々な企業がトランシーバーを製造・販売していますが、トランシーバーを初めて開発し、世に公開したのがモトローラ社(MOTOROLA)です。
1928年に創業し100年近い歴史と実績を持つモトローラを愛している顧客は多く、世界シェアは1位を誇っています。
一方、熱狂的なファンは多いものの、かつてほど日本国内でのシェアは大きくなく、日本メーカーが優位の市場です。
今回はモトローラの概要や、おすすめのモトローラトランシーバーを通信距離別に紹介します。
モトローラ(MOTOROLA)とは?
「モトローラ(MOTOROLA)」はアメリカの通信機メーカーです。
巨大企業であったモトローラも、現在はモトローラ・モビリティとモトローラ・ソシューションズに分割され、無線分野はモトローラ・ソリューションズが引き継ぎました。
無線機のラインアップも近距離から広域まで幅広くカバーしており、工事現場や工場、プラントなど幅広いシーンで使用されています。
また、海外では空港や米軍、公共機関などでも使用されていることが多く、商品はすべてモトローラ独自のALTテストと呼ばれる過酷な信頼性テストを実施しています。
そのため、高い堅牢性と安全性を誇っていることから、高品質で多くの顧客から高い信頼を得ており、業務用無線において世界シェア第1位を誇っているメーカーです。
世界シェアに反して日本国内でのシェアは大きくありませんが、熱狂的なファンも多いメーカーでもあります。
アメリカで開発された無線機をベースに日本市場向けにアレンジしていますが、電波に関する法律は世界各国様々で、海外の無線機がそのまま日本で使用はできません。
海外では使用できる周波数帯や通信方法も、日本ではそのまま使用できないといったケースがあり、日本向けに開発し直すには高いコストが必要となり、普及が進まない原因のひとつです。
しかしながら、モトローラはしっかりした機能が備わっている丈夫な無線というイメージが強いので、ハードな使用現場を中心にユーザーをを拡大してきました。
近年は、日本市場あわせて日本独自のカテゴリーである特定小電力トランシーバーや登録局のラインナップも増えてきました。
モトローラの歴史
モトローラ(MOTOROLA)は、1928年に創業し90年以上の歴史と実績を持っています。
世界で初めてトランシーバーを開発したことから、トランシーバー業界のパイオニアとも呼ばれている企業です。
モトローラの歴史で特筆すべきなのが、1969年に人類が初めて月面に到着した時です。
月面に到着した際、約38万kmも離れた地球に宇宙飛行士の声を届けた無線技術はモトローラが担当・提供していました。
現在、トランシーバー業界には多くの企業が誕生していますが、モトローラは古い歴史と人類初の月面着陸において無線技術を提供したという同業者他社がまねできない実績を持っています。
したがって、圧倒的なブランド力を誇る老舗巨大メーカーといっても過言ではないでしょう。
モトローラの日本市場戦略
モトローラが日本市場に参入した当時は、日本の無線機の黎明期を過ぎたころで、著しく市場が拡大する時期でした。
日本のMCA無線に対抗するトランキングシステムを一企業でインフラを整備しながら導入を図りました。
しかしながら、日本の市場で単独展開をするのは困難で、このトランキングシステムもサービスを終了し、日本の親密企業と提携しながらビジネスをおこなう方法に戦略転換しました。
具体例で示すと、特定小電力トランシーバーの開発がそれにあたります。
特定小電力トランシーバーは、自動車における軽自動車規格と同じで日本独自の無線機の規格になります。
こういった日本向けの商品は、モトローラのプラットフォームを利用しながら日本の親密企業が企画・設計し、モトローラの認証と販売チャネルに基づいて市場展開します。
各国の電波の法律や規則に合わせてもカスタマイズしなければなりません。
それゆえ、電波の法律や規則に関してよく認識していない業者が、日本以外の仕様のトランシーバーなどをインターネットで販売していることいがあります。
このような日本の法律に合致しないトランシーバーを知らずに使用しても、処罰の対象になることがありますので、じゅうぶんに注意が必要です。
モトローラの無線機・トランシーバーは、モトローラ認定の販売店より購入することが、アフターサービスを含めて間違いないといえるでしょう。
この親密モトローラディーラーの構築も、戦略のひとつです。
モトローラの製品・端末
日本向けに販売している無線機・トランシーバーは、以下のような種類があります。
各ジャンルの特徴をみていきましょう。
- 簡易無線
- 一般業務用無線
- 特定小電力トランシーバー
- IP無線
- MCA無線
簡易無線
モトローラではデジタル簡易無線として、免許局と登録局の2種の無線機が提供されています。
デジタル簡易無線、免許局・登録局
モトローラのデジタル簡易無線機の特長は、モトローラ独自のALTテストをクリアした高信頼性の無線機ということです。
ALTテストとはモトローラの品質基準をクリアするため、短期間のなかで無線機に様々なストレス(落下・打撃・水没・熱射など)を与えて、耐久性をテストすることです。
ALTテスト専門の試験室を工場に建設し、このテストにクリアした無線機が生産・出荷されています。 こうして培った技術がデジタル簡易無線に反映され、市場から高い信頼を得ています。
一般業務用無線
モトローラでは主に以下2つの対象に分けてサービスを展開しています。
- 一般法人向け
- 官公庁・公共機関向け
それぞれ詳しくみていきましょう。
一般法人向け
簡易無線より審査基準の厳しい一般業務用は、民間企業のなかでも公的サービスを担う業種や、工業地帯・危険物扱いの業種などで利用されます。
なかでもモトローラの名前を著しく高めたものに、防爆対応の無線機があります。
防爆対応とは、万が一無線機に不具合などが発生した場合、周囲に影響を及ぼさないよう設計された無線機です。
工場プラントや石油・ガスなどの燃料を扱う現場では、無線機の不調が原因で発火などさせるわけにはいきません。
ショートした場合などでも火花や構成部品が無線機外に飛び散らないように設計されたもの、それが防爆対応無線機です。
また、このほかにも、世界標準規格であるDMRに準拠した業務用無線機モトターボ(MOTOTRBO)も取り扱っており、豊富な製品・システムが揃っています。
官公庁・公共機関向け
モトローラは官公庁・公共機関向けサービスとして、鉄道や空港、公共サービス、防災行政無線を提供しています。
アナログ無線をはじめ、各種デジタル無線まで幅広い製品を取り扱っており、様々な課題を抱える顧客の業務をサポートしています。
特定小電力トランシーバー
前述のように、日本で提携する企業において、モトローラのポリシーに基づいて企画・設計されたものです。
日本以外では、同じ形状・デザインの無線機は販売されておらず、完全に日本向きの仕様の無線機です。
IP無線
モトローラはデータ回線やWi-Fiに対応した広域通信が可能なIP無線を提供しています。
IP無線はスマートフォンのようにデータ回線を使用して通信を行うため、日本全国のデータ回線を利用可能な地域であれば使用することができ、Wi-FiやBluetoothに対応している機種もあるため、データ回線が繋がりにくいシーンでも通信しやすいのが特徴です。
IP無線では通信にデータ回線を使用するため、災害時などで混雑する音声通信と比較すると制限を受けにくいのもメリットです。
MCA無線
※2024/9/3追記
MCAアドバンスは2027年3月31日、デジタルMCAサービスは2029年5月31日にサービスを終了することが決定しており、現在新規契約の受付は行っておりません。
モトローラは災害時などでも通信しやすいMCA無線の端末を提供しています。
MCA無線は限られた周波数を複数のユーザーで共同利用して通信する方式で、中継局がチャンネルのコントロールを行うことで効率的に通信を行うことができます。
モトローラではIP無線のLTE回線とMCA無線の専用回線を組み合わせた「MCAアドバンス」対応機種も提供されており、災害時や緊急時に公共の安全を守るために最適な機種となっています。
【近距離用】おすすめのモトローラトランシーバー3選
モトローラが提供しているおすすめの近距離用トランシーバーとして次の3つが挙げられます。
- CL08
- CL168
- CL268
それぞれ詳しくみていきましょう。
CL08
「CL08」は厚さが約17.5mmと握りやすい設計となっている特定小電力トランシーバーです。
トランシーバー本体に加えて、ニッケル水素充電池とベルトクリップ、充電用ACアダプターのオールインワンパッケージとして提供されており、購入したその日から使用できます。
希望小売価格は税込17,600円ですが、低価格な乾電池パッケージも販売しており、コストと相談しながら購入が可能です。
モトローラ独自の1年保証に加えて、電池の切り忘れを防止できる「オートパワーOFF機能」や特定のトランシーバーのみを呼び出せる「セルコール機能」など、多彩な機能も備わっており、中継器にも対応しています。
CL168
CL168はモトローラ規格のタフな設計を採用し、先進的なモデルともいわれている特定小電力トランシーバーです。
基本アンテナのCL168に加えて、より離れた場所や入り組んだ室内でも安定した通信が行えるロングアンテナタイプの168L、2種類のバリエーションが用意されています。
中継器との接続にも対応しているため、ロングアンテナタイプと合わせてさらなる通信距離の拡大が可能であり、個人からビジネスまで幅広い用途で使用されているトランシーバーです。
電池は市販のアルカリ乾電池もしくは、オプションのニッケル水素電池(FNB-148)の2種類が使用できますが、アルカリ乾電池使用時には最大400mW相当の高音質出力となります。
なるべく相手の声をクリアに聞き取りたいという場合は、ニッケル水素電池ではなく、アルカリ電池を使用するとよいでしょう。
CL268
シンプルな機能と超薄型設計かつモトローラ規格の高性能・耐久性を採用した特定小電力トランシーバーで、モトローラのハイエンドモデルです。
リチウムイオン電池セルが内蔵されているため、付属のチャージャースタンドもしくは、付属のACアダプターを本体にあるマイクロUSB端子につなげば簡単に充電できます。
最大400mWの高音質出力が標準装備されているため、クリアな音声となっており、雑音が多くても聞き取りやすくなっているのもCL268の特徴です。
また、作業者が転倒などで一定時間倒れた際、トラブルが起きたとみなして緊急アラームで知らせる傾斜アラームという機能が実装されています。
無線機の傾斜角度60度以上でないとアラームは作動しませんが、安全性を高めたいという場合はCL268の購入を検討するとよいでしょう。
【中距離用】おすすめのモトローラ簡易無線3選
モトローラが提供しているおすすめの中距離用トランシーバーとして次の3つが挙げられます。
- MiT3000
- MiT5000
- MiT7000
それぞれ詳しくみていきましょう。
MiT3000
「MiT3000」は、従来の操作性はそのままに、ロングライフバッテリーなど、新しい機能を採用した登録局対応の携帯型デジタル簡易無線です。
無線需要が高まっている工事現場やイベント現場のニーズに対応するために改良されました。
700mW出力によるクリアな音声に加えて、ユーザーの好みに合わせて音質を切り替えられるイコライザー機能や、バックノイズを少なくする2サイズ式ノイズキャンセリング機能など、様々な音声機能が備わっています。
スキャン機能も充実しているため、手間をかけることなく、目的に応じた運用が可能です。
MiT5000
「MiT5000」は、より使いやすさが追及されている免許局の携帯型デジタル簡易無線です。
モトローラならではの堅牢設計かつ、トップクラスの防水・防塵性を誇っているため、耐久性の高いタフなボディとなっています。
キー配置の工夫によって手袋をはめた状態でも押しやすいPTTボタンや、回しやすい電源スイッチおよびロータリースイッチを採用し、非常に使い勝手が良い設計となっています。
2マイク式のノイズキャンセリングにより騒音下でもクリアな音声再生が可能な他、録音メッセージを再生するクイックアンサーや危険な場所での単独作業にも安心のローンワーカーなど、スムーズな音声通話のための機能が充実しているのも大きな特徴です。
また、50mm・100mm・203mmとアンテナの選択も行えるため、携帯型・携帯性と通信距離のバランス型・通信距離重視型というように運用に合わせて使用することもできます。
MiT7000
「MiT7000」は2015年のグッドデザイン賞を受賞した免許局対応の携帯型デジタル簡易無線です。
米国軍用規格810G(米国MIL)に準拠し、IP67の防塵・防水性を誇っているため耐久性が高く、過酷な現場でも問題なく使用できます。
ボディの厚さは30mmで持ちやすさを追及している他、バッテリー持続時間も10時間程度となっているため、持ち運びがしやすく、長時間使用が可能な設計となっています。
最大出力は5Wとなっているため、工事現場など通信範囲が広範囲になってしまっても、問題なく通話が可能です。
また、一斉・個別といった緊急通話などの主要機能はもちろん、ノイズキャンセリング機能といった音声機能も備わっているため、騒音下でもスムーズかつ確実にコミュニケーションが行えます。
まとめ
現在日本で販売されている国外メーカーの無線機は、モトローラと中国のHYTです。
国内市場は電波法やその施行規則が日本独特のものであり、外国メーカーがシェアを拡大するために製品開発や販売方法に工夫を凝らしてきました。
モトローラは世界的な知名度を有しており、堅牢・丈夫な無線機として信頼性をアピールし、日本市場でも認められています。
モトローラの製品をご検討いただいている場合には、正規販売店からのご購入が安心です。