初心者でもわかる!身近にある電波をわかりやすく解説
私達の生活では様々な電子機器がたくさん利用されています。スマートフォンやテレビなどを当然のように使っていますが、相手に何かを伝えるためには電磁波の一種である「電波」が目に見えない所で活躍しているんです。
では、電波はどのように生まれて、どのように相手に伝わっているのでしょうか?
便利な機械を安全に正確に使用するために、電波について詳しく解説していきます。
そもそも電波とは?電波とは電磁波のひとつ!
電波は1秒間に約30万km駆け巡ることができ、1秒で地球を7回半回るスピードで動いています。
「電波」は、空間を伝わる電気エネルギーの波(電磁波)の一種で、日本の電波法では、電磁波の周波数が3THz以下のものを「電波」と呼んでいます。
ドイツの物理学者、ハインリヒ・ルドルフ・ヘルツが1887年に「電磁波」が空間を伝達していることを検証し、証明しました。
電子機器を選ぶ際に普段あまり気にすることがない要素になりますが、業務で無線を扱う場合、機種を選ぶ一つの目安になります。
無線きに重要な「電磁波」「周波数」「波長」について簡単に説明します。
電磁波とは
電波も光も電磁波であり、金属に電流が流れて「電界」と「磁界」を足したもの・お互いに作用したものが電磁波(電波)です。電界と磁界の総称を「電磁界」といいます。電界とは電力による力がプラスからマイナスに向かう時などに発生している空間です。電圧が高いほど強く、発生源から離れるほど弱くなります。
磁界とは磁気の力が作用する空間で、電流が大きいほど強く、発生源から離れるほど弱くなります。導線に電圧がかかっていないと電界も磁界も生まれません。1秒間に何回もプラスとマイナスが入れ替わることではじめて電波が空間に放射されます。
金属に電流が流れ磁界が発生し、電流の向きが交互に変わると新たに磁界が発生します。この交互の動きで空間に伝わっていくことを「電磁波」といいます。
よく耳にする「赤外線」「紫外線」なども、全て電磁波と表現されます。
『電磁波の一種』
・電波
・赤外線
・可視光
・紫外線
・X線
・ガンマ線
周波数とは
周波数とは電磁界の強さを表すもので、単位はHz(ヘルツ)を用います。1Hzとは、1秒間に1往復することで、波の繰り返し回数を表しています。低い周波数は※指向性が弱く、回り込みやすい特性があるので目的地の間に障害物があっても届きやすい。伝達できる情報は少なくなります。
高い周波数は指向性が強く、反射しやすいので障害物に吸収される性質があります。大量の情報を伝えることが可能。
※指向性(電波の強さが方向によって異なる性質)
波長とは
電磁波の周期的な減少で、連続する次の波が来るまでに進む水平距離の一波分の長さを指します。
一例として、シャボン玉を作る動きは電波の波長の動きにとても似ています。大きく膨らませると波が高くなり、息を切りシャボン玉が空中に出たときが電波を放出したときと同じイメージです。
電波と光は周波数が違うだけで共に電磁波と言えます。
電波の特徴5つ
電波は障害物が無い限り、自ら動きを変化させることがありません。
なので何も作用しない場合は電波は直進していきます。
では、障害物があったときの電波の動きはどのようになるのでしょうか?例として5つ解説していきます。
- 反射する性質がある
- 回り込む
- 通り抜ける
- 次第に弱くなる
- 電波同士で干渉する
1.反射する性質がある
電波には反射する力があり、光に近い動きをします。紙やガラス窓などは電波はすり抜けていきますが、金属製の物は電波を反射します。身近なものでいうと携帯電話の電波が悪いときは、相手と話すことができません。
一時的に電波を通しにくい場所に自分か相手がいると生じる現象です。実は携帯電話にアルミホイル1枚を巻いただけで、電波の流れを反射し通話ができなくなります。
2.回り込む
電波を送受信する、「送信機」と「受信機」の直線上に障害物があると、電波は回り込んで目的地に向かいます。建物がある場合その角に沿って裏側へ回り込む性質があります。
この回り込みは周波数が低い(波長が長い)ほど多くなり、特定小電力トランシーバーなどの電波は比較的回り込みやすい動きをします。
この回り込む電波の性質が相手との通信の手段になっていて、基地局から直接電波が届かない場所でも携帯電話を使うことができるようになります。
3.通り抜ける
電波は障害物に当たると反射・回り込みをします。しかし素材の種類と厚みによっては通り抜けることもあります。
ガラス・木材・紙などが通り抜けやすく、金属やコンクリートが反射します。
障害物により電波の動きが変化していくので、速度・質が大きく変化していきます。
4.次第に弱くなる
光や音が遠ざかると弱くなるように、電波も発信している基地局から遠くなると弱くなり、音質も悪くなります。回り込んだり、通り抜けたりすることで、距離が伸びれば電波は弱くなります。
また、複数の電波が密集している地帯では互いにぶつかり合って、その量と質が低下してしまいます。無線機を使用していると、距離が遠くなるほど聞き取りづらく音質が割れてくることがあるのは、電波が弱まってしまうのが原因の一つになります。
5.電波同士で干渉する
見通しの良い場所や障害物の密集地は、多数の電波があらゆる方向から飛んできます。電波がぶつかり合うと、電波同士が干渉して通信状態が不安定になり、発信や着信がしづらくなります。
同一機種のラジコンが二つあり、同じリモコンの片方を使用すると、両方のラジコンが同じ動きをします。リモコンを二つ同時に使用すると、ラジコンが動かなくなる現象が起こります。これが電波が干渉し合って混信している状態です。
日常の身近なところで電波は使われている
電波を利用したさまざまな機能で、私達の日常はどんどん便利になりました。
周りにある多くの物が電波を使用しています。
【自動車】
自動車は、様々な機能を付けることで安全性・利便性が高まっています。現在の車は走るコンピューターとも言えるでしょう。カーナビゲーション・GPS・ETCなどは電波の発達により、車に搭載できた素晴らしい機能です。
位置情報など相互に電波を発している中、高速で車は移動しているので正常に情報を伝達するためにあらゆる技術が活用されています。
【テレビ】
昭和・平成初期はテレビの調子が悪い時が頻繁にあり、画面の中が波線を打つように表示されることがありました。特に天候が悪いときに受信が上手くいかず、アンテナ自体を修理してもらうことで視聴できることもありました。
これも受信機であるテレビ・アンテナの電波の受信状況が大きくかかわっています。現在ではデジタル化により、安定した視聴ができるようになりました。
【電子レンジ】
食べ物を温めるのに電子レンジはとても便利です。その構造は、食品の中の水の分子を電波によって動かして温めています。
強い電波で温めるので危険が伴っているように見えますが、電子レンジの扉には電波の漏れを無くすためのシートがあり、その部分で守られています。電波で温めているので、固形物(特に卵)は電子レンジを使用しないように注意しましょう。
【電話】
携帯電話・固定電話のどちらも普段は繋がるのが当たり前になっていますが、電波の悪い所では通信の遅れや、会話に支障がでる場合が現在もあります。
特に年末年始のように特定の時間帯に通信が集中する状況では、通信の要求が多すぎて電波が不足になるため繋がりづらくなります。
このような状況は防災面でとても危険で、電話会社ではある一定の制限を設けるようにしています。そのおかげで緊急車両への連絡が滞りなくおこなえているので、電波は無限にある訳ではないことの再認識になると思います。
どうやって電波が相手に伝わるのか
電波で情報を相手に伝える原理は、送信側が発信する電波を空間で変化させて、受信側がその電波を検出しています。
主に電波を送受信するのがアンテナです。電波は金属製のアンテナに電流を流して作り、送信機で送りたい信号を高周波の電気信号に変換しアンテナに送り込みます。そしてアンテナはその電気信号を電波として放出していきます。
どの電子機器にも送受信の関係があり、互いに干渉し合うことで混信の恐れや危険な妨害を受けることもありますので、正しく電波が使用されるようにルールと仕組みがあります。
簡易無線では、音声の送受信に電波(周波数)を利用しています。
多くの無線機には、“チャンネル”として周波数が固定された状態でセットされていて、無線機同士のチャンネル(周波数)を合わせた状態にすると、同じチャンネル同士で通信ができる仕組みです。
簡易無線は、通信機としての歴史が長く、もっともベーシックな無線機。免許局と登録局の2つのカテゴリーに分けられ、免許を受けて運用する免許局では60万局が運用されています。登録局はレンタルできたり、異なる会社間で通信できたり、また上空・高所での運用ができるなど自由度の高い無線機です。
また、特定小電力トランシーバーは通信可能距離がもともと短いので、中継器と接続することで距離を伸ばすことも可能です。
IP無線機はインターネットプロバイダを利用した無線機で、携帯電話通信網(パケット通信)を利用して無線通信を行うのが特徴です。
携帯電話が利用できるエリアであればどこでも利用することができるため、屋内外での通信はもちろん、日本の端から端まで離れていたとしても通信が可能です。
通信機器は業務内容により周波数帯が異なるよう定められていて、その周波数帯は国際電気通信連合(ITU)が管理しています。その利用許可は日本では総務省が管轄しています。
電波を使うときのルール
たくさんの人が利用する電波は、無限に使い続けられる訳ではありません。
同時に同じ周波数で交信すると、混信して相手に伝わらないことがあります。
なので、それぞれ違う周波数を使うことで電子機器が混信せず安全に利用できます。
総務省管轄の電波法にてそのルールを明記していますので、解説していきます。
電波法について
便利な電子機器を使用するにはルールを守る必要があります。
それは「電波法」という法律に明記されており、使用者はその法律に乗っ取って利用する必要があり、違反した場合には処罰を受けることになります。
それは、
①定められた規格の電子機器を使用する
②必要な免許を取得する
③資格を持った人、もしくはその契約者が使用する
こちらが基本的なルールです。
免許を取得する必要がある無線機を無断・過失で使用したり、意図的に違法な改造をして「遠くに電波を飛ばす」「他者の通信を妨害する」等を行なった場合、違反となりえます。
総務省のホームページではその内容が詳細に明記されているので、トラブルを避けるために不明点は総務省や・メーカー等に確認・相談されることをおすすめします。
特定小電力トランシーバー・IP無線機は電波を使用する際に周囲に影響が少ないので免許が不要になります。(IP無線機は通信業者が事前に契約をしています。)
簡易無線の「登録局」という無線機は、免許は不要ですが総務大臣に登録状を発行してもらうことで利用が可能です。
無線機器の安心マーク
技適マークとは、電波法令で定めている技術基準に適合していることを確認・証明したマークです。
技適マークが付いていない無線機を使用すると、電波法違反になる恐れがあります。
技適マークは、無線機の型式名称や製造者が記載された銘板の中に表示されており、不法な無線機を見分ける一つの指針になります。
無線機の中でも特定小電力トランシーバーは技適マークが付いていればそのまま使用できますが、その他の簡易無線などは加えて免許の取得が必要な場合があります。
携帯電話等も本来免許の取得が必要ですが、あらかじめ電気通信事業者が無線局の免許を受けて販売しているので、契約者が購入した際にその手続きをしています。
平成7年4月から技適マークは変更されていますが、旧タイプの技適マークも有効です。
まとめ
電波は目に見えないので、どのような作用があるのか理解するのはとても難しいです。
適切な取り扱いをすれば自分達の暮らしの大きな助けになりますが、一歩間違うと知らなかっただけで、実は違法な扱いをしていたという事例もあります。
特に無線機を購入・レンタルする場合は、免許が必要かどうか事前に販売店に必ず確認していきましょう。