トランシーバーの種類とその違いとは?
トランシーバーの選び方も解説
トランシーバーは相手との情報伝達の手段として、現在も数多く使用されています。トランシーバーには様々な種類があり、適した機種を選択することで使用者の利便性も大きく変化するでしょう。
今回は最適なトランシーバーを選んでいただくために、それぞれのトランシーバーの有効な距離・通話音質の違いを解説していきます。
トランシーバーの音声はどこまで届く?
携帯電話・スマートフォンが普及している現在、遠距離の通信手段は昔と比べて誰でも容易にできるようになりました。
しかし、同時に複数の相手と通信しなければいけない時には、無線機・トランシーバーが適しています。
音声の有効範囲は日本全国の広範囲に届く機種や、200m前後の近距離で使用する機種など多数あり、それぞれメリット・デメリットがあります。
「手続きを簡素にしたい」
「料金をできるだけ安くしたい」
「シンプルで使いやすいトランシーバーがいい」
トランシーバーは近距離から遠距離まで音声を届かせることが可能となり、職種や使用状況などに合わせた機種を選ぶことをおすすめします。
トランシーバーの種類とその有効距離
トランシーバーの種類別に有効距離を紹介していきます。
- MCA無線
- 簡易無線
- IP無線機
- 特定小電力トランシーバー
MCA無線
※2024/9/3追記
MCAアドバンスは2027年3月31日、デジタルMCAサービスは2029年5月31日にサービスを終了することが決定しており、現在新規契約の受付は行っておりません。
【中継局を経由。契約次第で全国に通信可能】
MCA無線は全国に設置された中継局を経由して通信を行なう仕組みで、複数の通信チャンネルを多数の利用者が共用する業務用異動通信システムです。
MCA無線機の中継局は全国に114ヵ所設置されており、1つの中継局で20km~40km程度のエリアをカバーでき、契約次第では全国で通信も可能。
専用の通信網を利用するので混信や回線の混雑が起きないのが特徴。MCA無線機の中継局では、利用者に対して自動的に空きチャンネルを割り当てる形で通信を行ないます。
限られたチャンネルをスムーズに振り分ける必要があるため、MCA無線機では1回の通信時間が3分〜5分。長時間の通信は行なえませんが、混信や回線の混雑がないのがMCA無線機の特徴です。
MCA無線機は中継局に無線従事者が配置されているため、簡易無線と違い利用者が従事者免許を取得する必要はありません。
ただし、無線局の免許のみ取得・更新が必要となります。
簡易無線
【5km】
Convenience Radio(CR)と呼ばれ、簡易な業務を目的として利用される無線。
簡易無線は無線局への免許もしくは登録の申請が必要です。レンタルする場合はレンタル業者が登録手続きを事前に済ませているため、購入するよりも手軽かつすぐに利用できます。
通信距離はおよそ2km~5kmほど離れていても通信が可能です。
高層階の建物や大規模イベント、レジャーなどに適しています。登録の対象となる簡易無線局を運用する場合には登録の手続きが必要で、継続して使用する場合は更新手続きが必要です。
IP無線機
【全国】
IP無線機とは、通信事業者のインターネット回線を利用して通信を行なう長距離用トランシーバーです。使用にあたり免許や登録は不要、通信距離の制限がなく全国で利用ができます。遮蔽物のある場所での通信にも強いので、近年人気が高まっています。
しかし、地下や山間部などの携帯電話が繋がらない場所ではIP無線機も使うことはできません。購入やレンタルをする場合、携帯電話と同様に毎月2,000円ほどのデータ通信費がかかるのでコストは比較的高くなります。
IP無線機では暗号化されたデータでの通信が可能。混信による盗聴のトラブルも心配ありません。特別な免許や資格を取得する必要もなく、通信距離が広範囲で、誰でも簡単に利用できるのがIP無線機の特徴です。
特定小電力トランシーバー
【約100m~200m】
通信距離が比較的短く、「特小」とも呼ばれる送信出力が0.01w以下の無線機。
「通信距離に限界がある」「遮蔽物に弱い」といったデメリットがある一方、「免許・登録が不要」「安くレンタル・購入できる」「電池持ちがよい」「軽量でコンパクト」などのたくさんのメリットがあります。出力が制限されていて周りの電波に干渉することが少ないので、免許や登録は不要となっています。手軽に入手して利用を開始できる点がとても優れています。
特定小電力トランシーバーの通信距離の目安は、見通しの良い場所で約200mで、ビルなどの多い市街地で100m程度。建物などの遮蔽物があると通信がスムーズにできない可能性があるので、無料デモ機などを利用して、通信がしっかりとできるか確認しましょう。
機種によっては中継器に対応しており、各無線機の通信が届く範囲内に中継器を設置すると通話エリアを拡大することができます。特定小電力トランシーバーには必要な電力も少なくできるというメリットがあります。
機種によっては乾電池1本で30時間程度使用できるので、イベントなどで一日使う場合も電池切れの心配がありません。
IP無線機の場合、送信出力が大きい分一度の充電で使用できる時間が10~20時間程度と比較的短めです。したがって、長時間の使用の心配をなくしたいときは特定小電力トランシーバーがおすすめ。
また、特定小電力トランシーバーは簡易無線やIP無線機と比べ、本体が比較的軽いです。手で持って通信するハンディ型の場合150g程度、据え置き型でも200g程度です。手軽に入手できてキャンプやレジャーに適しています。
距離や遮蔽物による通信距離と音質の影響
電波は紙・木・ガラスは通り抜けますが、金属には反射してしまいます。
無線機の適正距離以下の状況であっても、遮蔽物などの影響で通信が上手くいかない場合があり、音質にも影響が出る可能性があるので、環境と用途に合った機種を選ぶ必要があります。
距離による影響
【全国対応の無線機】
・MCA無線機
・IP無線機
【距離制限がある無線機】
・簡易無線
・特定小電力トランシーバー
どのトランシーバーを選ぶかによって有効距離は大きく変わります。
特定小電力トランシーバーなどの近距離の使用では200m前後。IP無線機・MCA無線機は日本全国通信が可能。
音質は近距離の方がよりクリアに聞こえるので、有効距離に満たない機種を使用する場合はアンテナの変更をするか、機種自体の変更を検討して下さい。
特定小電力トランシーバーはアンテナの変更をすることは違法になりますので注意。
他にも腰にクリップで装着すると通信距離が短くなるなどがあります。
ビルなどの遮蔽物による影響
トランシーバーの有効距離の範囲内でも、ビルなどの遮蔽物が直線状にたくさんあると通信が円滑におこなえない場合があります。
音質も途切れ途切れになってしまう恐れがあるので、機種を変更するか、地形図などを参考に中継の配置などを考えていきましょう。
建物内・地下の影響
警備などでトランシーバーを使用する際、同じ建物内でも階数が違う場所からの通信が必要なケースが出てきます。
やはり高層域から低層域までに距離があったり地下になると遮蔽物が多くなるので、音質が悪くなることがあります。
しかし同じ建物同士ならば距離自体はそれほど離れることがないので、通信自体には影響はそれほどないでしょう。
トランシーバーの選び方
トランシーバー・無線機にはたくさんの種類があり、用途も様々です。共通していることは相手に的確に情報を伝えること、通信をすることです。
利用目的に合う最適なトランシーバーを選んでいただくために、その選び方を紹介します。
通信距離で選ぶ
使用の目的を確認して、通信距離の範囲内のトランシーバーを選択してください。
広範囲の無線を使用すると距離の制限をされないのはメリットですが、コストが高くなるなどのデメリットも存在します。
MCA無線 | 契約内容により全国 |
簡易無線 | 【登録局】約2~5km【免許局】約3km |
IP無線 | 全国 |
特定小電力トランシーバー | 約100m~200m |
本体性能で選ぶ
【重量】
携帯式の無線機は持ち運びながら作業・誘導をすることが多いです。使用者の疲労を軽減するためにも、軽量であることが長時間の使用に向いています。
重量は80g〜180gが一般的です。電池や付属品装着時に重量が更に加算されますが、携帯電話・スマートフォンとそれほど大差はありません。
車載型のMCA無線機・IP無線機の中には2㎏を超える重量の無線機もあります。
【サイズ】
サイズはよりコンパクトの方が扱いやすいですが、通信性能・持続時間を良好に保ちたい状況下では、大きめの無線機も選択肢の一つです。内ポケットやベルトなどの装備場所によって作業の邪魔にならない機種を使用しましょう。
【使用可能時間】
電池式・充電式それぞれ機種ごとに使用可能時間が異なります。
持続時間が短い機種でも11時間〜16時間。長い機種では45時間の連続使用が可能。
単三電池を使用する機種は場所を選ばず電池交換ができるので、山岳や海域でとても有効です。充電式も近年はUSB端子からの充電可能な機種が多く、オフィスなどでの使用に向いています。
通信費・レンタル料金で選ぶ
【通信費】
無線機の中でIP無線機は購入価格と別に通信料が毎月発生します。IP無線機は電話回線を用いて通信を行うので比較的総合コストが高くなります。
月額通信料はメーカーにより違いはありますが、価格相場は月額2,000円程度。毎月定額料金が発生するので、短期の利用の場合はレンタルの方がおすすめです。
【レンタル料金】
通常、無線機のレンタル利用には資格や免許は必要ありません。レジャーや一時的な業務で使用する場合は、購入よりレンタルの方がコストパフォーマンスが良いでしょう。
e-無線機では「IP無線機」「簡易無線」「特定小電力トランシーバー」のレンタルを行なっています。それぞれ基本料金は1件1,575円(税込)です。
・IP無線機1台辺りの目安は2泊3日で3,780円、1週間レンタルで5,940円
・簡易無線機1台辺りの目安は2泊3日で2,700円、1週間レンタルで5,983円
・特定小電力トランシーバー1台辺りの目安は2泊3日で2,160円、1週間レンタルで4,320円
複数人で情報共有をする単発のレジャーなどに使用するならば、レンタルを利用することで購入よりコストをかなり抑えることができます。
また、長期レンタルの相場は月3,000円程度なので、年間単位で使用する事業主などはコストが大幅に変動するので、あらかじめ長期プランを検討して下さい。
サポート体制で選ぶ
【利用日までの期間】
急な仕事で無線機が必要になった場合、手元に届くまで日数がかかると業務に支障をきたしてしまう恐れがあります。
出来る限り早く手元に届くような、早期対応をしてくれる業者を選びましょう。
「e‐無線」では急なリクエストにも対応できるように、配送スピードを重視しています。
【メンテナンス】
無線機を利用すると、その機器のメンテナンスを一からご自身で行なう必要があります。短期・中期の使用頻度ならばレンタルを利用することで、不要な時期には返却することができます。新たにレンタルをする際には、最新の整備状態で郵送されるので、管理・メンテナンスに時間をとられる心配がなくなります。
【導入前の無料通信テスト】
電波状況・通信の距離などを導入前に確認しておきたい方には、通信テスト用の無線機を利用するのが安心です。購入・レンタルどちらを使用する場合でも試験的に運用することで、その価値を確認することが可能です。
販売会社に相談すると適した無線機を紹介するので、初心者でもすぐに導入できます。
「e‐無線」では、トランシーバーを試してみた方へ無料通信テストが可能です。通信距離、明瞭度、使い勝手など導入前に通信テストができるので、安心して購入できます。
通信テストをしたいけれど、テストする際のポイントや注意点などをプロがお答えしているので、まずはお電話にてお問い合わせしてみてください。
電話番号:0120-954-417
携帯電話から:03-3209-7123
電話受付時間:9:00~18:00(土・日祝日を除く)
まとめ
トランシーバー・無線機の種類で、通信距離とその通話音質が変化することを解説しました。トランシーバーによって特徴や通信距離が異なります。
トランシーバーを選ぶべきか迷ったときには、その旨を購入前に販売業者に相談して通信テストなどを行ない、アドバイスをもらうことも1つの手です。ご自身の業務内容や使用状況に合ったトランシーバーを利用していきましょう。